About

ここは非公式二次創作小説置き場です

悪意のある書き方でなければ、TwitterをはじめとしたSNSへのシェアOKです

夢とカプが混在しています/#夢小説 タグと#カップリング タグをつけていますので、よきに計らっていただけますと幸いです

Owner

みやこ 成人/神奈川への望郷の念が強い

(waveboxへ飛びます/めちゃまじコメントうれしい/レスはてがろぐ) てがろぐ(ゲロ袋/ブログ/告解室)

Input Name

Text

2023年6月の投稿11件]

2023年6月26日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

ノーチャンス! #夢小説 #ヒロアカ #飯田天晴

ノーチャンス! #夢小説 #ヒロアカ #飯田天晴
 私の個性はエンジンの持久力を上げるための内燃機関。願ってもない個性だと思っていた。
 飯田家が個性婚をやっている、というのは誰の目にも明らかだった。けれど飯田家がそれを表明しなかったから誰も言及しなかった。轟家があんなふうになってしまってからも、何も言わずにしれっとヒーロー活動してる。兄のほうはもうヒーローとして使い物にならないし、もしかしたら子供に夢を託したりしちゃうかもって。
 
 だからちょっと期待しちゃった。
 
 私にも、インゲニウムとワンチャンあるかなって。
 
 でもそんなものなかった。飯田家はもうそういうのやめるんだって。こんなカス個性を引いてしまってから生きている価値を飯田家の個性婚に見出してるような私が悪いとでも言いたいのか、インゲニウムのサイドキックたちはあわれなものを見る目で私を見た。
「どうしたの」
「天晴さん」
 車椅子に乗った精悍な顔立ちの青年が不思議そうに見上げてくる。
 サイドキックの人がかいつまんで天晴さんに私のことを説明すると、明らかに顔が引き攣っているようだった。
 それもそうか。自分の種でうまいことやろうとしている女なんかふつうにキモいわ。ヒーローも人間だったってことか。知らなかった。
 それなのに天晴さんは、私に言葉を尽くして別の道で生きるように説得してくれた。個性だけが全てじゃないって。
 でもそれって、"持っている"側の感覚よね。お金、学歴、美貌なんかと同じで持ってる側はお金じゃないんだよ、とかいけしゃあしゃあと言ってのけるんだ。"持っていない"側の僻みなんか思いもよらない。
 
 そのままの君ていてほしい。
 太陽は太陽のままそこに輝くことに意味がある。そのすがたを手が届くなんて思いもしないくらい遠くから眺めて、あんなに綺麗なひとがいるんだから私も、と思わせてほしい。偶像崇拝に近いような感じかな。

ワンドロ:ケーキ #レゾ #ヒロアカ #鳥師弟

ワンドロ:ケーキ #レゾ #ヒロアカ #鳥師弟

「ケーキっておいしいよね。俺さ、大人になってから初めて食べたんだけど美味しすぎてびっくりしたよ」
 こうやって不遇だった子供時代をさらけだして特段憐れんだり気遣ったりしたりをせず、そうかとだけ言ってくれるこの後輩のことが不思議で仕方がない。
 情が薄いというわけではない。むしろ他人のために自分を捧げることができる英雄たりえる精神を持ったひとだ。
「この前の時任さん(ホークス事務所事務員)のお誕生会でチマチマケーキ食べてるなと思っていましたが、そういうことでしたか」
「食べたらなくなるし」
「そりゃ、そうだ」
「くだらなくて、涙が出そうになるくらい大切な時間だったよ。終わっちゃうのすごく寂しかったな〜……」
「感傷的ですね……またやればいいじゃないですか。誕生日は毎年来ますよ」
「ほんと、そうだよねぇ……誕生日を迎えられるように頑張ろうね」
「ホークスか頑張るんで、俺は高みの見物してます」
「ちょっと前までは俺が頑張るんでホークスは休んでてください!って張り切ってたのに」
「ホークスはただぼんやり休んでるより身体動かしてたほうが気がまぎれるタイプかなと思ってのことです。そうですよね?」
「そう。その通り。だから俺あんまり家に帰ってないんだよね。一人で休んでると考えが悪い方向にばっかりいっちゃって」
「だからカプセルホテルでの目撃情報がたくさんあるんですね」
「そう。他人のいびき聞こえる環境が一番ゆっくりできる」
「へー。よくわからないですね。あの生活感のなさ納得です」
「まあ使わないから、物置だよね」
「あの立地を物置に……」
「使いたかったら使ってもいいよ」
「ほんとですか? じゃあ今度みんなでシャトレーゼのケーキ全種類買って食べましょう」
「楽しそう。不二家のもやりたい。猫の形したやつとか」
「いいですね」
 あるかどうかもわからない未来の約束をするのは楽しい。そこまで頑張るかって思えるから。叶えられなくてもいい。そっちの方が楽しみだからくだらなくて何にも替えられない約束をする。ささやかな幸せを想像して眠りにつくのも楽しい。消化試合みたいに生きるより、ずっといい。

ワンドロ:絆 #カップリング #ヒロアカ #荼炎 #燈炎

ワンドロ:絆 #カップリング #ヒロアカ #荼炎 #燈炎

 俺の仏壇を拝んで、”荼毘”になってから数日くらいはさ……親子の絆が俺とお父さんを結びつけてくれるって思ってたんだよ。
 
 
 でも実際そんなことはなくて、俺が「初めまして」だなんて言ったらお父さんは気づきもしなかった。絆なんてウソだね。お互いの努力があって関係を維持しようと関わり続ける意思のことを絆って呼んでることを、荼毘になりたての俺に伝えてやりたいよ。かわいそうな俺。もしかしたら殺し続けることでお父さんが俺のこと見つけてくれないかなって期待してたんだぜ。罪が俺たちを結ぶ絆になるかもしれないって。でもそんなことなかった。俺だって生殖にそんな夢見てるような歳じゃないけどさ、もしかしたら血のつながりにはなんかしらの絆が生まれるのかもって。でも全然そんなことなかった! 俺のこと憎らしい人殺しを見る目で見た! 俺ずーっと、お父さんのこと待ってたのに。涙なんか出るなって言ってたら本当に出なくなっちゃうまで焼けてしまったのに。お父さんがあの時来てくれたらこんなことにはなっていなかったのに。お父さんのせいなのに。
 
 
 あんな目で、俺を見た。

ワンドロ:ふたり #カップリング #荼炎 #燈炎 #ヒロアカ

ワンドロ:ふたり #カップリング #荼炎 #燈炎 #ヒロアカ

 あのとき、お父さん助けてとは言えなかった。助けを求めるというのは自分が相手に無償の加護を求めることであり自分が不良品であることを認めることに等しかったから。
 いや、言ったほうのかもしれない。
 助けて
 
 痛い
 
 怖い
 
 と。
 
 それはどれも届かなかった。そこにいない人にどれだけ伝えたいと思っても伝わるようなもんじゃない。テレパシーとかないからね。それにパニックになって叫ぼうとして深く息を吸ってしまったら、炎は簡単に肺に届き、喉を灼いた。
 そして、俺は荼毘になって「はじめまして」と言った。焼けた喉から絞り出された声は燈矢のものだとわからなかったみたい。
 あれから俺はうめき声しかあげれないまだ死んでない焼死体になったわけだけど、その声の方が燈矢のものだってわかるみたい。
 俺がどれだけなじっても、ずっと相槌を打ってくれる。それも興味ないやつにやる適当な返事じゃなくて、ちゃんと会話になってるやつ。俺がこんなふうになる前に気づいて欲しかったんだけど、それができなかったから俺たちは……いま戻せない時を、消せない過去を取り出して眺めては今を生きている。変なの。バカみたい。でも今の俺はちょっと満足してる。許してはないけど、満足している。

2023年6月18日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

ママとお父さんのだいすきな私 #夢小説 #カップリング #鬼滅の刃 #おばみつ

ママとお父さんのだいすきな私 #夢小説 #カップリング #鬼滅の刃 #おばみつ

 お父さんとママのこと大すきだけど、今日だけはおうちに帰りたくなかった。
 
 ママとおんなじ桃色の髪が大すき。けど、今日学校で男の子にからかわれた。そうめんのピンク色食べすぎたエロ女って。
 
 そんなことお父さんに言ったら男の子のこと何しちゃうかわからないし、ママと同じ髪の色をからかわれたなんて言ったらママは悲しむに決まってる。
 公園のベンチに座ったまま五時のかねを聞いた。学校が終わったらまっすぐおうちに帰ってきて、ランドセルをおいてから遊ぶのよってママ言ってたのに。
 多分お父さんもママも探している。見つかりたくなくて公園を出たけど、お店の近くだからきっとすぐ見つかっちゃう。
 

「お父さん」
「どうしたんだ、みんな心配してたんだぞ」
 そう言ってお父さんはランドセルごと私を抱き上げた。今日の髪型はお父さんがくるくるにしてリボンをつけてくれた。それなのに、帰る時には給食当番のお帽子かぶってきたからお父さんは何かわかったのか、何も聞かずにお店に戻ってママに連絡しているみたいだった。
「髪のことで何か言われたんだろう」
「わかったの?」
「ああ、ママも言われていた」
「あいつらがばかなんだってわかるんだけど、けど……ママと同じ髪なのにそんなこと言われて悔しかった」
「お前はえらいな。お父さんと違って時分の気持ちを言葉にできる」
「そう? お父さん毎日ママにだいすきっていってるじゃん」
「それは、そうだが……」
「子供たちにも言ってる」
「言わないと伝わらないことがあるからな……っていうことはお前が一番わかってそうだけどな。もうそろそろママ帰ってくるから、ちゃんと話してやってくれるか?」
「うん……」
 
「ンモ〜っっっ!!花ちゃん! 甘露寺花ちゃん!! し、心配したのよ〜っ!!どうしたの? 怪我はない??」
「ないよ……」
「何か嫌なことがあったの? 今日の晩御飯がピーマンの肉詰めなのが嫌? ママかパパが嫌なこと言っちゃった??」
「違うの……」
 給食当番のお帽子をとると、桃色の髪がふわりとこぼれ落ちた。ママと同じ髪の色と、お父さんと同じ瞳の色。どっちもだいすきだ。ママになんて言おうかモジモジしてたら、お父さんが何か言いたげにソワソワしている。
「あのね……この髪の色はそうめんのピンク食べすぎたエロ女って……」
「くだらん」
「パパは静かにしてて!」
「すまん」
 お父さんはママに弱すぎる。惚れた弱みってすごいんだなぁっていつも思う。
「もちろんそんな言いがかり言うのは変だわ。でも、悲しいわよね……」
「そうなの。くだらないってわかってるんだけど、悲しかったの……」
 ただ聞いて、私の気持ちをわかって欲しかった。ママは私のことをわかってくれる。
 ママだいすき。
 お父さんも好き。
 
 ▼
、今日の髪型はどうする」
「んーと、髪がちゃんと見えるような感じがいい。くるくるにして」
「わかった」
 お父さんにお願いしてかわいくしてもらった。ママとお父さんの子供だもん。いつだって一番かわいいし、ママとお父さんの宝物だもん。エロだからなんだっていうのよ。くだらないバカの言葉で傷つくことがあったって、いいの。ママとお父さんがぎゅってしれくれるんだから。

2023年6月17日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

俺たちのグッズが出た #カップリング #ヒロアカ #ミリ環

俺たちのグッズが出た #カップリング #ヒロアカ #ミリ環

「波動さんのぬいぐるみを着飾って楽しむ趣味ができた」
「へー」
「あのね、いろんな作家さんが帽子とか洋服とか作ってて……」
「かわいい。波動さんはこういう少女趣味な服着ることなさそうだから尚更」
「そう。波動さんは絶対にこんなフリルフリルした服は着ない」
「着ないねえ……波動さんは服のこと隠すべきところを隠すくらいの勢いしかないと思う。その流れで言うと俺は環とファットと切島くんとてつてつくんのアクリルジオラマ持ってる」
「あ、あれ俺も好き。ファットが集合写真の時前に横たわるタイプの上司だってことをしっかり描いてるし」
「そこかぁ……」
「そう。いつもはかなり大雑把でアホっぽい大人のフリしてるけど、一番税金とか法律のことわかってるし、労働時間に気を使ってるし、労災とかの手続き手伝ってくれる。そういうタイプの大人でもある」
「いい職場だ」
「うん。切島くんとてつてつくんはあのキラキラした目でカニカマを食べる俺を見て、カニの形質が出てこないか待っててかわいい。カニカマのことカニだと思ってて……」
「かわいい。環が仕事先でうまくやってるみたいでよかった」
「うん。みんなが元気な限りは頑張りたいな」
「そう、そうありたいよね」
「ね」

運命の赤い糸が目に見えないばかりに #カップリング #ヒロアカ #ミリ環

運命の赤い糸が目に見えないばかりに #カップリング #ヒロアカ #ミリ環

「波動さん、綺麗だったね」
「うん。ドレスの色がすごく似合ってたね」


 波動さんの結婚式か終わった後、俺が大阪に帰る前にちょっと時間作ろうと言って会っているけどやっぱり毎日顔を合わせていたときよりはお互いの今を探り合っているような気がする。いつもはちょっと話しただけで昨日さよならと言って別れたくらいのノリで話せるのに。
「いいなあ、結婚」
「ミリオ、結婚したい人がいるの?」
「うん。いる」
「そうなんだ……したいなら、すればいいのに」
「そうもいかない事情があって……でも、俺が死ぬ時はその人に喪主を頼みたいと思ってて」
「そういう理由で結婚考える人っているんだ」
「結婚はロマンスだけではやっていけないからね」
「何か知っているような口ぶりだね」
「まあ俺も社会に揉まれていろいろ見てきたってこと」
「そっか」

「っていうか、やっと環が話してくれた気がする。聞かれたら答えるだったじゃん。さっきまで」
「いや俺たちなんだかんだで一年会ってないから、今のミリオのノリがわからなくて」
「変わらないよ、そんなの」
「変わるよ。波動さんだってあんな……俺たち以外のやつと結婚したし……」
「さみしいならさみしいってちゃんと言いなよ」
「ほんとだ……さみしい! もう俺たちとドッジボールとか缶けりとかしてくれないかもしれない……」
「それはないでしょ。あの子、勝てる勝負好きじゃん」
「俺は別に手を抜いているわけでは……」


 そこまで言って、俺は言葉を失った。俺だけが誰とも結婚したいほどの関係性を作れていない焦りが顔を出したのだ。別にそんなもの無くてもいいんだけど、無いと二人と一緒になれないような気がして。いやもう、違う道を歩いているんだから一緒じゃなくてもいいんだけど、少しでも共通点が多くないと俺だけその輪からいなくなっちゃうような気がして。くだらないのはわかってる。みんなと一緒じゃないからとパートナーを求めたってそんなのパートナーの人に失礼だっていうのもわかる。わかるけど今日の俺は波動さんの結婚に少なからずショックを受けてしまっているのだと思う。
 
「ミリオまで結婚しちゃったら、俺どうしたらいいんだろう」
「どうもしなくていいよ」
「それは、わかるけど……」
 せっかく久しぶりに会ったのだからこんな湿っぽい話はしたくないのに、一度マイナス思考が始まったら下り坂を駆け下りるように止まらない。ミリオはそんな俺を知ってるから、マイナス思考には運動が一番とか言って、スマホから底抜けに明るいおなじみの前奏を流し出した。
 
「ラ、ラジオ体操第二……あー運動する気なんかないのにこの前奏を聞くとあー……身体が勝手に……」
「でしょ? 俺最近ウジウジした時はラジオ体操してんの」
「へー」
 日が暮れた公園でいい大人二人、しかも多少名の売れた二人がラジオ体操をしているのは滑稽に映ってはいたものの、みんなあの前奏には我慢できずに文句垂れながらも深呼吸まで済ませてしまった。
「どうしたのルミリオンじゃん。急にラジオ体操とかして」
「今日は友達の結婚式があって」
「文脈機能してないけど?」
「ダハハ」
 知らない人とも積極的に雑談できるミリオの影でそれを眺めていた。
「環、また気分落ち込んだら俺のこと思い出して。俺はずっと味方だから。そして、ラジオ体操をして」
「う、うん……」
「スマホ出して。サブスク入ってる?入ってなかったら俺が買ってあげる」
「入ってない。っていうか圧がすごい」
「ファットも切島くんもてつてつくんもいい人たちだから大丈夫だろうけど、それでも環は落ち込むでしょ。そしたら俺がいるってわかってたら、安心するといいなって……もう何もかも嫌になったら俺のとこ来ればいいし……」
「ありがと……」
 
 こんなにいいやつが近くにいるのに、俺は何を落ち込む必要があったんだろう。それでも俺はこういう気質だから落ち込むんだろうけど、その度浮かんで来れる。縦の糸と横の糸、水と魚、錘と浮きの俺たち。まあなんと、いい関係じゃないか。 

永遠 #カップリング #ヒロアカ #荼炎 #燈炎

永遠 #カップリング #ヒロアカ #荼炎 #燈炎

 結局お父さんは個性婚の結果として俺らを作って、何かを得ることができたんだろうか。
 おだやかに風が吹くとてもいい季節なんだと思う。水の底から見る景色みたいにぼんやり歪んだ視界、ごうごうと血の流れだけが聞こえる耳、風の流れすらわからない肌。どれもがこの季節を教えてくれないけど、お父さんが教えてくれるんだ。
「燈矢、今日は風が吹いているんだ。優しい風だ。燈矢の周りにだって吹いてるぞ」
「見てごらん、あれは……何らかの鳥だ」
 とか。
 
 俺は多分もうお父さんの願い、一番になりたかったという願いを叶えてあげられない。けれどこうして大切に余生を過ごしている。ほかに願いがあるなら、俺でも叶えてあげられられる願いがあればいいんだけど、こんな身体じゃもう無理だ。俺がこの前、こんな弱くなった俺を見られたくない、捨てて欲しいと言ったら、
「なにを言うんだ燈矢。俺は燈矢に……家族に、俺がなにを大切にしなければいけなかったか、俺の本当の願いは何かということを教えてもらったんだ」
「そうなんだ……お父さんの願いって、何?」
「それは、燈矢。家族がみんな幸せを感じながら生きることだ」
「そっか……いまからでも、まだそうなれるなら、そうなりたいね……」
「過去は消えない。変えることはできない。けれど、おそらく……過去を現在や未来で雪ぐことはできると思うんだ。燈矢はどう思う」
「俺は、それでもいいよ。これから……っても、そう長くはないけど俺や俺のきょうだい達のわだかまりを雪いでよ」
「ありがとう、燈矢」
「自分の考えややりたいこと、これがイイと思った事を家族に押し付けないだけでちょっと進歩」
 そうやってちょっと笑っただけで頬が裂けるように痛い。けどお父さんも苦笑いの部類では、るけど、笑ってくれたから、いい。今の俺は、それでいい。
畳む

only you #カップリング #ブルーロック #スナロレ

only you #カップリング #ブルーロック #スナロレ

「殴ったんだって? お前のパスをこぼしたチームメイトを」
「説教は受けてやったよ」
 へらへらと笑う俺のツラを、オヤジだったなら起き上がれなくなるまでぶん殴ったけどスナッフィーはただその瞳をぎょろぎょろと動かして黙っている。
「やっとサッカーしてやってもいいかな? と思ったのにさ、俺よりヘタクソなやつばっかりで頭きたんだよ。俺よりずっと長く練習してきても俺以下の実力しか出せない奴らが結託して、えらそうにお前のやり方は良くないなんて言うんだぜ。スポーツは結果が全てだろ。馴れ合いとか、感傷とか。一番いらないものにこだわってるやつらばっかりなんだよ」
 俺は言い訳するように長々と俺を怒らせた奴の方が悪いと並べ立てた。かっこ悪い。これじゃガキみたいだ。俺の言葉を黙って聞いていたスナッフィーは、トチって死んだ親友のことでも思い出してるのか目をすっと細めて、俺を見た。そしてそれを誤魔化すかのように小脇に抱えたボールを足先でいじり始めた。
「ロレンツォ、お前の言うとおりでもあるし、俺の経験則で言うと少し違うと思う。努力の積み重ねを美しいと思うのはどこでも一緒だ。サッカーはチームスポーツだからみんなが美しいと言うものを美しいと言っておくだけでもその集団には親しみを持ってもらえるんだよ。これは大人だから知ってるズルだ。大人はズルの手数が子供より多く知ってる。その代わり自分の経験してきたこと以外のことに恐れを抱く。だからロレンツみたいな、生育環境が違うやつがいるだけで異なる価値観への恐れが減る……ことを見越していたんだが、そうじゃないかもな。ロレンツォの言うとおり、結果が全てだ。それなのに文句を言うチームメイトはおかしいな」
「だろ?!」
「おかしいが、ロレンツォ、お前もじきに忖度ってやつを学んだほうがいい……ロレンツォが楽に生きるために」
「そんなもん、いらない。俺は金にならない、形にないものは信じない。他人からの信頼も必要ない。そんなもの、すぐ無くすか……自分から壊しちまうんだ」
「悩むことも大事だがな、夜は悩まないほうがいい。グラウンドに行こう。少しだけ練習してから寝よう」
「いいよ」
「ありがとう、ロレンツォ」
 
 
 
 こうして俺は、ちょっと問題を起こすとロレンツォが構ってくれることを学んでしまった。これは大人になってからも続くんだけど、徐々に構ってもらえなくなった。そのうえ、構ってもらいたくて問題行動を起こしてるということがスナッフィーにバレてるみたいで恥ずかしくなった。そんなことをしてまでスナッフィーの気を引きたいみたいで。
 でも一番気を引けるのは俺が結果を出せた時だ。それに気づいてからは俺はもうそりゃあ真面目にサッカーした。ちょっとでもスナッフィーの視界に入れるように、スナッフィーの夢を叶える道具としてうまく使えるんだぜとアピールした。虚しくなんかなかった。
 死んだ親友とスナッフィーが写ってる写真を写真立てに入れてるのを見て、俺はいつもなんだか気が重かった。生きて、スナッフィーのことを見てるのは俺なのに、スナッフィーは地獄の釜の中をずーっと眺めて、時々現実を見ては親友の影をグラウンドの中に探している。
 別に虚しくなんかない。俺はスナッフィーとは金と契約で繋がってるだけだし。信頼とか、無いし。そのはずなのに、俺何故かそんなスナッフィーに苛立ちを感じている。スナッフィーは気づいてか気づいてないのか、何も言わずに俺らのプレーを上から目線で眺めている。むかつく、嫌い、いなくなれ。そんな単純な苛立ちでしか自分の感情を表現できない。だから多分俺がチームメイトを殴ったのってスナッフィーのせいじゃないのか? いやでも、言われたな。自分の問題を他人のせいにするなって。
「殴ったんだって? お前のパスをこぼしたチームメイトを」
「説教は受けてやったよ」
 へらへらと笑う俺のツラを、オヤジだったなら起き上がれなくなるまでぶん殴ったけどスナッフィーはただその瞳をぎょろぎょろと動かして黙っている。
「やっとサッカーしてやってもいいかな? と思ったのにさ、俺よりヘタクソなやつばっかりで頭きたんだよ。俺よりずっと長く練習してきても俺以下の実力しか出せない奴らが結託して、えらそうにお前のやり方は良くないなんて言うんだぜ。スポーツは結果が全てだろ。馴れ合いとか、感傷とか。一番いらないものにこだわってるやつらばっかりなんだよ」
 俺は言い訳するように長々と俺を怒らせた奴の方が悪いと並べ立てた。かっこ悪い。これじゃガキみたいだ。俺の言葉を黙って聞いていたスナッフィーは、トチって死んだ親友のことでも思い出してるのか目をすっと細めて、俺を見た。そしてそれを誤魔化すかのように小脇に抱えたボールを足先でいじり始めた。
「ロレンツォ、お前の言うとおりでもあるし、俺の経験則で言うと少し違うと思う。努力の積み重ねを美しいと思うのはどこでも一緒だ。サッカーはチームスポーツだからみんなが美しいと言うものを美しいと言っておくだけでもその集団には親しみを持ってもらえるんだよ。これは大人だから知ってるズルだ。大人はズルの手数が子供より多く知ってる。その代わり自分の経験してきたこと以外のことに恐れを抱く。だからロレンツみたいな、生育環境が違うやつがいるだけで異なる価値観への恐れが減る……ことを見越していたんだが、そうじゃないかもな。ロレンツォの言うとおり、結果が全てだ。それなのに文句を言うチームメイトはおかしいな」
「だろ?!」
「おかしいが、ロレンツォ、お前もじきに忖度ってやつを学んだほうがいい……ロレンツォが楽に生きるために」
「そんなもん、いらない。俺は金にならない、形にないものは信じない。他人からの信頼も必要ない。そんなもの、すぐ無くすか……自分から壊しちまうんだ」
「悩むことも大事だがな、夜は悩まないほうがいい。グラウンドに行こう。少しだけ練習してから寝よう」
「いいよ」
「ありがとう、ロレンツォ」
 
 
 
 こうして俺は、ちょっと問題を起こすとスナッフィーが構ってくれることを学んでしまった。これは大人になってからも続くんだけど、徐々に構ってもらえなくなった。そのうえ、構ってもらいたくて問題行動を起こしてるということがスナッフィーにバレてるみたいで恥ずかしくなった。そんなことをしてまでスナッフィーの気を引きたいみたいで。
 でも一番気を引けるのは俺が結果を出せた時だ。それに気づいてからは俺はもうそりゃあ真面目にサッカーした。ちょっとでもスナッフィーの視界に入れるように、スナッフィーの夢を叶える道具としてうまく使えるんだぜとアピールした。虚しくなんかなかった。

 死んだ親友とスナッフィーが写ってる写真を写真立てに入れてるのを見て、俺はいつもなんだか気が重かった。生きて、スナッフィーのことを見てるのは俺なのに、スナッフィーは地獄の釜の中をずーっと眺めて、時々現実を見ては親友の影をグラウンドの中に探している。
 別に虚しくなんかない。俺はスナッフィーとは金と契約で繋がってるだけだし。信頼とか、無いし。そのはずなのに、俺何故かそんなスナッフィーに苛立ちを感じている。スナッフィーは気づいてか気づいてないのか、何も言わずに俺らのプレーを上から目線で眺めている。むかつく、嫌い、いなくなれ。そんな単純な苛立ちでしか自分の感情を表現できない。だから多分俺がチームメイトを殴ったのってスナッフィーのせいじゃないのか? いやでも、言われたな。自分の問題を他人のせいにするなって。
 そういうバカみたいな悩みはサッカーしてる時だけはついてこなかった。俺はただ、俺の中の嫌な俺が顔を出さないようにサッカーをしている。なんでもよかったんだ。サッカーじゃなくても。でもサッカーじゃなくちゃ、俺はここに居ない。まだあの今生の延長線上にある地獄で息ができなくなっているに違いない。ある意味、俺を救おうとして手放した大人より悪質なのかもしれない。あーあー、やめ。サッカーしよう。

碇 #レゾ #ヒロアカ #鳥師弟

#レゾ #ヒロアカ #鳥師弟
「常闇くん……」
「なんです。そんな神妙な顔して」
「俺この前常闇くんとモスバーガー食べに行ったじゃん。あの時ね、オニポテリング一個くれたじゃん」
「そうだったかな。確か師が初めてモス来たわ〜などと言っていたので、オニポテを食べずにいるのはなと思い」
「それはさ、雪見だいふくの一個だったり、ピノの一個みたいなそういう……」
「ああ、まあでもそこまで食に執着がないから俺はそういうのはいいんです」
「えー、常闇くんの方が大人みたい」
「執着の先は人それぞれです」
「そっかあ……常闇くんは、何に執着してんの?」
「そうですね……職場環境ですかね。ホークスが想像している以上に異形個性は蔑まれるので、ホークスみたいに名前が売れてて、若い女性のファンが多いヒーローの下だと働きやすいんですよ」
「あー、そういう。なんかもっと俗物的な回答がもらえるかなって……」
「あなたにそんな顔させたくなかったから言わないでいたんですが」
「なんだ、隠してたんだ」
「まぁ、そうですね」
 ホークスのせいではないのに、そうやって俺のことを自分ごとのように傷ついてくれるあなたの顔が見たくてこの話をしたのかもしれない。
 たかだか五年程度早く生まれた程度で世界は変えられない。そんなことくらい俺ですらわかっているのに、ホークスは釈然としない顔をして俺に降りかかる悪意を嘆いてくれている。
「俺はそうやって傷つく常闇くんに何してあげられるかな」
「うーん……スマブラをしたり、温泉に行ったり、潮干狩りに行ったり、ポットのお湯が切れそうだったら補充したり、靴を揃えたり、事務所の鍵をちゃんとしめたり……」
「最後の方申し訳ないと思ってはいるけどできてないやつ出てきたな……俺さ、小さい頃からゲームっていうかテレビもなくてそういう経験? 子供の頃みんなやっているであろうことが本当にできてなくて……できればそういう子供時代を取り戻したいんだよね」
「隠し事なくてえらいじゃないですか。いいですよ。やりましょう。スマブラでも、アサガオの観察でもなんでも」
「わーい。楽しみだな」
「そしたら、元気にしてないとダメですからね」
「肝に銘じます」
 そういうことをちゃんと言葉にしないと、ホークスはフラフラとどこかに行ってしまいそうだから俺はホークスがここに居たくなりそうなことを並べ立てる。この人はどんなに親しい人であれ失う経験がありすぎて、執着が薄すぎるから自分の命すら軽んじるような言動が見受けられる。俺はそれを見るのがなんだか悲しくて、この人の速度を落とすようなことをしてしまう。
 それでも、執着しているものを分け与えるような信頼をされているのだと思うと、どこかに行ってしまう前に声くらいはかけてもらえるのかもしれないと自惚れてしまう。あんまり期待しないほうが良さそうだとは思うのだが。

私をうまく使ってくれるだけでいいのに。 #夢小説 #ヒロアカ #飯田天晴

私をうまく使ってくれるだけでいいのに。 #夢小説 #ヒロアカ #飯田天晴

 私の個性はエンジンの持久力を上げるための内燃機関。願ってもない個性だと思っていた。
 飯田家が個性婚をやっている、というのは誰の目にも明らかだった。けれど飯田家がそれを表明しなかったから誰も言及しなかった。轟家があんなふうになってしまってからも、何も言わずにしれっとヒーロー活動してる。兄のほうはもうヒーローとして使い物にならないし、もしかしたら子供に夢を託したりしちゃうかもって。
 
 だからちょっと期待しちゃった。
 
 私にも、インゲニウムとワンチャンあるかなって。
 
 でもそんなものなかった。飯田家はもうそういうのやめるんだって。こんなカス個性を引いてしまってから生きている価値を飯田家の個性婚に見出してるような私が悪いとでも言いたいのか、インゲニウムのサイドキックたちはあわれなものを見る目で私を見た。
「どうしたの」
「天晴さん」
 車椅子に乗った精悍な顔立ちの青年が不思議そうに見上げてくる。
 サイドキックの人がかいつまんで天晴さんに私のことを説明すると、明らかに顔が引き攣っているようだった。
 それもそうか。自分の種でうまいことやろうとしている女なんかふつうにキモいわ。ヒーローも人間だったってことか。知らなかった。
 それなのに天晴さんは、私に言葉を尽くして別の道で生きるように説得してくれた。個性だけが全てじゃないって。
 でもそれって、"持っている"側の感覚よね。お金、学歴、美貌なんかと同じで持ってる側はお金じゃないんだよ、とかいけしゃあしゃあと言ってのけるんだ。"持っていない"側の僻みなんか思いもよらない。
 
 そのままの君ていてほしい。
 太陽は太陽のままそこに輝くことに意味がある。そのすがたを手が届くなんて思いもしないくらい遠くから眺めて、あんなに綺麗なひとがいるんだから私も、と思わせてほしい。偶像崇拝に近いような感じかな。畳む