ネスカイワンドロワンライ #カップリング #ブルーロック #ネスカイ
唇を大切な相手にくっつけることを愛情表現だと最初に定義づけた人は、何を考えていたのかなんとなくわかる。
朝目が覚めて最初に目に入るのは、僕の手のひらに収まる大きさのカイザーぬい。朝日を受けてまたたく金髪までは再現しきれないけど、あの淡い金はよく似た色があるもんなんだなと感心した。
不敵な笑みを浮かべるカイザーぬい。ああかわいい、愛しい、なんかよくわからないけど心がつやつやして角が取れる。今日は寒いから、こっそり通販したあたたかいガウンを着せてやる。
「おはよう♡ カイザー。今日も頑張ろうね」
そう言ってカイザーぬいにキスをして到底他人には見せられない笑みを浮かべていると、よく知った足音が聞こえてきてあわててぬいをしまった。
「お、おはようございます。カイザー」
「おはよう…… 本物にキスはしないのか?」
「えっ……じゃあ遠慮なく、あでもまだシャワー浴びてなくて」
「いいから」
「はぁい」
「あの綿の唇にはキスできて、俺のにはできねえのな」
「それとこれとは話が別……ってカイザーあのぬいぐるみの存在を知って」
「まぁな。普通に聞こえるんだよ。お前があの綿と会話してんのが」
「あれを会話とみなしてくれるのかわいい。カイザー大好き」
「……わかんねぇなぁ……」
呆れた様子のカイザーは、興味をなくしたようだった。足音が離れていくのがわかる。
カイザーぬいにこっそりキスをする。今度は本体にできる勇気が湧くように。唇にしてしまったら、僕らの中の何かが劇的に変わってしまうような気がして怖くて、あの双眸が失望の色に染まってしまうのが怖くて。
「じゃあカイザー♡シャワー浴びてくるから待っててね♡」
本物の代わり、という意識はない。本当はこうできたらなぁという願いはある。カイザーとこんなふうになってみたいな、という祈りも、ある。
綿のカイザーは何も言わない。ただ不適な笑みを浮かべて僕がシャワールームに向かうのを見守ってくれる。僕はカイザーとの繋がりはサッカーだけかと思っていたけど、そうでもないみたい。人として、彼のことが好きなんだと思う。その確信が自分でも持てていなかったけどあのキスをしたい、って気持ちは多分本物だった。
熱いシャワーでも気分は晴れなかった。
僕が浮かない気持ちでいても、ぬいはそうでもないみたいだった。いつもニコニコ(?)してるし。
「そうだなぁ……お互い引退したら、もう少し真面目に考えてみようかな……」
それじゃ遅いよ、と言っているのか、そういう気持ちになった時がベストタイミングだよ、と言っているのかはわからないけど、ぬいぐるみのカイザーはぶすっとした顔をしない。かわいいカイザー(ぬいぐるみ)。
情けない僕だけど、見守っててね。畳む
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みやこ 成人/神奈川への望郷の念が強い
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タグ「ブルーロック」を含む投稿[7件]
ぬいぬい #ブルーロック #カップリング #ネスカイ
ぬいぬい #ブルーロック #カップリング #ネスカイ
「こ、これは……」
「新しいグッズだとよ。いらねーってのに」
「僕にください」
「あ? まぁ別にいいけど」
「ありがとうございます!」
こうして手のひらに収まるサイズのカイザーを僕が所有するという大興奮な生活が幕を開けた。
男のぬいぐるみ趣味なんて一番バカにされてしまう環境なんだけど、僕がカイザーのぬいぐるみにどう転んだってカイザーが絶対着ないような少女趣味な服を作って着せ替えしたり、家具を作ったり、連れ出して写真を撮っているのを見ても誰も何も言わなかった。
チームメイトたちに聞いたら「この商品を見た時ネスならやると思ったし、カイザーがくれてやらないなら俺らで買ってやろうと思ってた」という。
意外とこいつら僕のことわかってるしいいやつだなと思った。
「カイザー、僕、少し旅行に」
「一人でか?」
「まぁ、一人ですね」
「あの綿とだろ」
「なんでわかったんですか」
「お前が遠征する先々の観光地で俺のぬいぐるみと写真を撮ってるのが話題になってる」
「えっ……」
「旅行いくなら俺も連れてけ。お前と旅行行くと楽しむだけでいいから好きなんだ」
「!??!!?!!♡♡♡!!?♡!??♡♡!♡♡♡♡♡♡♡♡♡はい!!!!♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
こうして、ネスとカイザーとカイザーぬいは旅行を楽しみましたとさ。
おしまい
「こ、これは……」
「新しいグッズだとよ。いらねーってのに」
「僕にください」
「あ? まぁ別にいいけど」
「ありがとうございます!」
こうして手のひらに収まるサイズのカイザーを僕が所有するという大興奮な生活が幕を開けた。
男のぬいぐるみ趣味なんて一番バカにされてしまう環境なんだけど、僕がカイザーのぬいぐるみにどう転んだってカイザーが絶対着ないような少女趣味な服を作って着せ替えしたり、家具を作ったり、連れ出して写真を撮っているのを見ても誰も何も言わなかった。
チームメイトたちに聞いたら「この商品を見た時ネスならやると思ったし、カイザーがくれてやらないなら俺らで買ってやろうと思ってた」という。
意外とこいつら僕のことわかってるしいいやつだなと思った。
「カイザー、僕、少し旅行に」
「一人でか?」
「まぁ、一人ですね」
「あの綿とだろ」
「なんでわかったんですか」
「お前が遠征する先々の観光地で俺のぬいぐるみと写真を撮ってるのが話題になってる」
「えっ……」
「旅行いくなら俺も連れてけ。お前と旅行行くと楽しむだけでいいから好きなんだ」
「!??!!?!!♡♡♡!!?♡!??♡♡!♡♡♡♡♡♡♡♡♡はい!!!!♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
こうして、ネスとカイザーとカイザーぬいは旅行を楽しみましたとさ。
おしまい
習作② #ブルーロック #カップリング #ネスカイ
習作② #ブルーロック #カップリング #ネスカイ
好きな歯磨き粉の味、コーヒーには何を入れるか、好きなタオルの素材、シーツは毎日取り替えたい、嗜好品として好きな食べ物と、アスリートの身体を作るための食事の中で好きな食べ物……等々。
知らなくても僕自身のパフォーマンスには影響しないものだけど、こういった知識を仕入れることをやめようと思ったことはない。
なんでカイザーのことをこんなに大切に思っているのかもわからない。わからないというか、言葉で説明できない、というのが正しい。
言葉にするとなると「何となく」とか「好きだから」とかいう一見陳腐に聞こえる言葉でしかこの感情を飾れないのなら、最初から言葉にしないほうがいい。
カイザーは僕がいなくなったら、自分好みの生活に辿り着くための速度が落ちるだけで、僕がいないと何もできないなんてことではない。カイザー自身でもできるけど、僕がやりたいって言うからやらせてくれているだけ
。
僕はそれをカイザーの優しさだと思ってるけど、他の人はそう見えてない、カイザーが僕をこき使っているように見えているらしい。「ネス、あなたはカイザーの召使じゃなくてあなたはあなたの人生を生きたほうがいい」なんて。
そういうやつと話していると頭にくるけど、僕のことを心配してくれているんだと自分に言い聞かせている。それでもイラつくけど、一回ひどく怒鳴ったらカイザーに洗脳されてるからそういうことをしてしまうんだなんていう超理論を掲げられて、相手の中でもう答えが決まってることにこちらが何を言っても意味がないと悟り、話だけ聞いて満足して帰ってもらった。
確か、スポンサーの親族だったはず。そうでもなきゃ、話切り上げて練習に戻ってる。
僕は僕の選択で僕の人生を生きているからこそ、これなんだ。これが一番納得いってる。一番かっこよくて一番強い人の影でいられることがどんなにうれしいかわからないなら黙っていて欲しい。僕は今本当に幸せなんだから。
好きな歯磨き粉の味、コーヒーには何を入れるか、好きなタオルの素材、シーツは毎日取り替えたい、嗜好品として好きな食べ物と、アスリートの身体を作るための食事の中で好きな食べ物……等々。
知らなくても僕自身のパフォーマンスには影響しないものだけど、こういった知識を仕入れることをやめようと思ったことはない。
なんでカイザーのことをこんなに大切に思っているのかもわからない。わからないというか、言葉で説明できない、というのが正しい。
言葉にするとなると「何となく」とか「好きだから」とかいう一見陳腐に聞こえる言葉でしかこの感情を飾れないのなら、最初から言葉にしないほうがいい。
カイザーは僕がいなくなったら、自分好みの生活に辿り着くための速度が落ちるだけで、僕がいないと何もできないなんてことではない。カイザー自身でもできるけど、僕がやりたいって言うからやらせてくれているだけ
。
僕はそれをカイザーの優しさだと思ってるけど、他の人はそう見えてない、カイザーが僕をこき使っているように見えているらしい。「ネス、あなたはカイザーの召使じゃなくてあなたはあなたの人生を生きたほうがいい」なんて。
そういうやつと話していると頭にくるけど、僕のことを心配してくれているんだと自分に言い聞かせている。それでもイラつくけど、一回ひどく怒鳴ったらカイザーに洗脳されてるからそういうことをしてしまうんだなんていう超理論を掲げられて、相手の中でもう答えが決まってることにこちらが何を言っても意味がないと悟り、話だけ聞いて満足して帰ってもらった。
確か、スポンサーの親族だったはず。そうでもなきゃ、話切り上げて練習に戻ってる。
僕は僕の選択で僕の人生を生きているからこそ、これなんだ。これが一番納得いってる。一番かっこよくて一番強い人の影でいられることがどんなにうれしいかわからないなら黙っていて欲しい。僕は今本当に幸せなんだから。
習作 #ブルーロック #カップリング #ネスカイ
習作 #ブルーロック #カップリング #ネスカイ
これは夢だとわかっていた。
こんなこと、彼がするはずがないというのは僕が一番よくわかっているからだ。
夢の中の僕は怪我をてしまって入院している。もうサッカーができなくなるかもしれない。
それでもカイザーは僕のお見舞いにマメに来てくれて、「お前が戻るのを待っている」とか「お前がいないとうまくいかないことがある」なんて言ってくれる。
俺がこうあってほしいと思っていることが夢になってるとしたらとっても情けないし恥ずかしいから早く目覚めたいんだけど、どうしても目覚めることができない。僕に優しい言葉を吐き続けるカイザーの形をした幻に相槌を打つ。
役に立たなくなった僕に構うカイザーはカイザーじゃない。こんな僕の願望で歪んでしまったカイザーと話しているとおかしくなりそうだ。
ドッ、とベッドに誰かが座る衝撃があり、目が覚めた。
「何寝てんだ」
「深夜なので……」
寝汗でしっとりと湿ったシャツを脱ぎ捨てて、あわい金髪から肌の青薔薇へと目を滑らせた。僕の夢の中のとは全くもって違う、僕の知っているカイザーが不機嫌そうに僕のベッドサイドに座っている。
「今日は俺が深夜に帰国するって知ってただろ」
「……! 知ってました!」
「なら何で寝てる」
「えへ……! そ、そうですよねカイザー!あなたはそうでなくちゃ!そうであってください!ね!ね!」
「うるさい。適当な運動着用意しろ。少し身体動かすから、付き合え」
「もちろんです!」
ベッドから飛び起きて、カイザーのクローゼットから運動着とサッカー用の厚手の靴下を取り出して渡した。さも当然かのように受け取り、何も言わずに着替え始める。そう、そうこれが僕の知るカイザーだ。誰のことも見ずに自分の道を進んでいく光、後ろに続く民草のために道を拓く皇帝。僕はすっかりうれしくなって、室内練習場の空調と電気を操作して、ストレッチ用のマットを持って行った。
夢の中のカイザーは起こして悪かったとか言うだろうけど現実のは言わない。それでいい。それが、いい。
これは夢だとわかっていた。
こんなこと、彼がするはずがないというのは僕が一番よくわかっているからだ。
夢の中の僕は怪我をてしまって入院している。もうサッカーができなくなるかもしれない。
それでもカイザーは僕のお見舞いにマメに来てくれて、「お前が戻るのを待っている」とか「お前がいないとうまくいかないことがある」なんて言ってくれる。
俺がこうあってほしいと思っていることが夢になってるとしたらとっても情けないし恥ずかしいから早く目覚めたいんだけど、どうしても目覚めることができない。僕に優しい言葉を吐き続けるカイザーの形をした幻に相槌を打つ。
役に立たなくなった僕に構うカイザーはカイザーじゃない。こんな僕の願望で歪んでしまったカイザーと話しているとおかしくなりそうだ。
ドッ、とベッドに誰かが座る衝撃があり、目が覚めた。
「何寝てんだ」
「深夜なので……」
寝汗でしっとりと湿ったシャツを脱ぎ捨てて、あわい金髪から肌の青薔薇へと目を滑らせた。僕の夢の中のとは全くもって違う、僕の知っているカイザーが不機嫌そうに僕のベッドサイドに座っている。
「今日は俺が深夜に帰国するって知ってただろ」
「……! 知ってました!」
「なら何で寝てる」
「えへ……! そ、そうですよねカイザー!あなたはそうでなくちゃ!そうであってください!ね!ね!」
「うるさい。適当な運動着用意しろ。少し身体動かすから、付き合え」
「もちろんです!」
ベッドから飛び起きて、カイザーのクローゼットから運動着とサッカー用の厚手の靴下を取り出して渡した。さも当然かのように受け取り、何も言わずに着替え始める。そう、そうこれが僕の知るカイザーだ。誰のことも見ずに自分の道を進んでいく光、後ろに続く民草のために道を拓く皇帝。僕はすっかりうれしくなって、室内練習場の空調と電気を操作して、ストレッチ用のマットを持って行った。
夢の中のカイザーは起こして悪かったとか言うだろうけど現実のは言わない。それでいい。それが、いい。
only you #カップリング #ブルーロック #スナロレ
only you #カップリング #ブルーロック #スナロレ
「殴ったんだって? お前のパスをこぼしたチームメイトを」
「説教は受けてやったよ」
へらへらと笑う俺のツラを、オヤジだったなら起き上がれなくなるまでぶん殴ったけどスナッフィーはただその瞳をぎょろぎょろと動かして黙っている。
「やっとサッカーしてやってもいいかな? と思ったのにさ、俺よりヘタクソなやつばっかりで頭きたんだよ。俺よりずっと長く練習してきても俺以下の実力しか出せない奴らが結託して、えらそうにお前のやり方は良くないなんて言うんだぜ。スポーツは結果が全てだろ。馴れ合いとか、感傷とか。一番いらないものにこだわってるやつらばっかりなんだよ」
俺は言い訳するように長々と俺を怒らせた奴の方が悪いと並べ立てた。かっこ悪い。これじゃガキみたいだ。俺の言葉を黙って聞いていたスナッフィーは、トチって死んだ親友のことでも思い出してるのか目をすっと細めて、俺を見た。そしてそれを誤魔化すかのように小脇に抱えたボールを足先でいじり始めた。
「ロレンツォ、お前の言うとおりでもあるし、俺の経験則で言うと少し違うと思う。努力の積み重ねを美しいと思うのはどこでも一緒だ。サッカーはチームスポーツだからみんなが美しいと言うものを美しいと言っておくだけでもその集団には親しみを持ってもらえるんだよ。これは大人だから知ってるズルだ。大人はズルの手数が子供より多く知ってる。その代わり自分の経験してきたこと以外のことに恐れを抱く。だからロレンツみたいな、生育環境が違うやつがいるだけで異なる価値観への恐れが減る……ことを見越していたんだが、そうじゃないかもな。ロレンツォの言うとおり、結果が全てだ。それなのに文句を言うチームメイトはおかしいな」
「だろ?!」
「おかしいが、ロレンツォ、お前もじきに忖度ってやつを学んだほうがいい……ロレンツォが楽に生きるために」
「そんなもん、いらない。俺は金にならない、形にないものは信じない。他人からの信頼も必要ない。そんなもの、すぐ無くすか……自分から壊しちまうんだ」
「悩むことも大事だがな、夜は悩まないほうがいい。グラウンドに行こう。少しだけ練習してから寝よう」
「いいよ」
「ありがとう、ロレンツォ」
こうして俺は、ちょっと問題を起こすとロレンツォが構ってくれることを学んでしまった。これは大人になってからも続くんだけど、徐々に構ってもらえなくなった。そのうえ、構ってもらいたくて問題行動を起こしてるということがスナッフィーにバレてるみたいで恥ずかしくなった。そんなことをしてまでスナッフィーの気を引きたいみたいで。
でも一番気を引けるのは俺が結果を出せた時だ。それに気づいてからは俺はもうそりゃあ真面目にサッカーした。ちょっとでもスナッフィーの視界に入れるように、スナッフィーの夢を叶える道具としてうまく使えるんだぜとアピールした。虚しくなんかなかった。
死んだ親友とスナッフィーが写ってる写真を写真立てに入れてるのを見て、俺はいつもなんだか気が重かった。生きて、スナッフィーのことを見てるのは俺なのに、スナッフィーは地獄の釜の中をずーっと眺めて、時々現実を見ては親友の影をグラウンドの中に探している。
別に虚しくなんかない。俺はスナッフィーとは金と契約で繋がってるだけだし。信頼とか、無いし。そのはずなのに、俺何故かそんなスナッフィーに苛立ちを感じている。スナッフィーは気づいてか気づいてないのか、何も言わずに俺らのプレーを上から目線で眺めている。むかつく、嫌い、いなくなれ。そんな単純な苛立ちでしか自分の感情を表現できない。だから多分俺がチームメイトを殴ったのってスナッフィーのせいじゃないのか? いやでも、言われたな。自分の問題を他人のせいにするなって。
「殴ったんだって? お前のパスをこぼしたチームメイトを」
「説教は受けてやったよ」
へらへらと笑う俺のツラを、オヤジだったなら起き上がれなくなるまでぶん殴ったけどスナッフィーはただその瞳をぎょろぎょろと動かして黙っている。
「やっとサッカーしてやってもいいかな? と思ったのにさ、俺よりヘタクソなやつばっかりで頭きたんだよ。俺よりずっと長く練習してきても俺以下の実力しか出せない奴らが結託して、えらそうにお前のやり方は良くないなんて言うんだぜ。スポーツは結果が全てだろ。馴れ合いとか、感傷とか。一番いらないものにこだわってるやつらばっかりなんだよ」
俺は言い訳するように長々と俺を怒らせた奴の方が悪いと並べ立てた。かっこ悪い。これじゃガキみたいだ。俺の言葉を黙って聞いていたスナッフィーは、トチって死んだ親友のことでも思い出してるのか目をすっと細めて、俺を見た。そしてそれを誤魔化すかのように小脇に抱えたボールを足先でいじり始めた。
「ロレンツォ、お前の言うとおりでもあるし、俺の経験則で言うと少し違うと思う。努力の積み重ねを美しいと思うのはどこでも一緒だ。サッカーはチームスポーツだからみんなが美しいと言うものを美しいと言っておくだけでもその集団には親しみを持ってもらえるんだよ。これは大人だから知ってるズルだ。大人はズルの手数が子供より多く知ってる。その代わり自分の経験してきたこと以外のことに恐れを抱く。だからロレンツみたいな、生育環境が違うやつがいるだけで異なる価値観への恐れが減る……ことを見越していたんだが、そうじゃないかもな。ロレンツォの言うとおり、結果が全てだ。それなのに文句を言うチームメイトはおかしいな」
「だろ?!」
「おかしいが、ロレンツォ、お前もじきに忖度ってやつを学んだほうがいい……ロレンツォが楽に生きるために」
「そんなもん、いらない。俺は金にならない、形にないものは信じない。他人からの信頼も必要ない。そんなもの、すぐ無くすか……自分から壊しちまうんだ」
「悩むことも大事だがな、夜は悩まないほうがいい。グラウンドに行こう。少しだけ練習してから寝よう」
「いいよ」
「ありがとう、ロレンツォ」
こうして俺は、ちょっと問題を起こすとスナッフィーが構ってくれることを学んでしまった。これは大人になってからも続くんだけど、徐々に構ってもらえなくなった。そのうえ、構ってもらいたくて問題行動を起こしてるということがスナッフィーにバレてるみたいで恥ずかしくなった。そんなことをしてまでスナッフィーの気を引きたいみたいで。
でも一番気を引けるのは俺が結果を出せた時だ。それに気づいてからは俺はもうそりゃあ真面目にサッカーした。ちょっとでもスナッフィーの視界に入れるように、スナッフィーの夢を叶える道具としてうまく使えるんだぜとアピールした。虚しくなんかなかった。
死んだ親友とスナッフィーが写ってる写真を写真立てに入れてるのを見て、俺はいつもなんだか気が重かった。生きて、スナッフィーのことを見てるのは俺なのに、スナッフィーは地獄の釜の中をずーっと眺めて、時々現実を見ては親友の影をグラウンドの中に探している。
別に虚しくなんかない。俺はスナッフィーとは金と契約で繋がってるだけだし。信頼とか、無いし。そのはずなのに、俺何故かそんなスナッフィーに苛立ちを感じている。スナッフィーは気づいてか気づいてないのか、何も言わずに俺らのプレーを上から目線で眺めている。むかつく、嫌い、いなくなれ。そんな単純な苛立ちでしか自分の感情を表現できない。だから多分俺がチームメイトを殴ったのってスナッフィーのせいじゃないのか? いやでも、言われたな。自分の問題を他人のせいにするなって。
そういうバカみたいな悩みはサッカーしてる時だけはついてこなかった。俺はただ、俺の中の嫌な俺が顔を出さないようにサッカーをしている。なんでもよかったんだ。サッカーじゃなくても。でもサッカーじゃなくちゃ、俺はここに居ない。まだあの今生の延長線上にある地獄で息ができなくなっているに違いない。ある意味、俺を救おうとして手放した大人より悪質なのかもしれない。あーあー、やめ。サッカーしよう。
「殴ったんだって? お前のパスをこぼしたチームメイトを」
「説教は受けてやったよ」
へらへらと笑う俺のツラを、オヤジだったなら起き上がれなくなるまでぶん殴ったけどスナッフィーはただその瞳をぎょろぎょろと動かして黙っている。
「やっとサッカーしてやってもいいかな? と思ったのにさ、俺よりヘタクソなやつばっかりで頭きたんだよ。俺よりずっと長く練習してきても俺以下の実力しか出せない奴らが結託して、えらそうにお前のやり方は良くないなんて言うんだぜ。スポーツは結果が全てだろ。馴れ合いとか、感傷とか。一番いらないものにこだわってるやつらばっかりなんだよ」
俺は言い訳するように長々と俺を怒らせた奴の方が悪いと並べ立てた。かっこ悪い。これじゃガキみたいだ。俺の言葉を黙って聞いていたスナッフィーは、トチって死んだ親友のことでも思い出してるのか目をすっと細めて、俺を見た。そしてそれを誤魔化すかのように小脇に抱えたボールを足先でいじり始めた。
「ロレンツォ、お前の言うとおりでもあるし、俺の経験則で言うと少し違うと思う。努力の積み重ねを美しいと思うのはどこでも一緒だ。サッカーはチームスポーツだからみんなが美しいと言うものを美しいと言っておくだけでもその集団には親しみを持ってもらえるんだよ。これは大人だから知ってるズルだ。大人はズルの手数が子供より多く知ってる。その代わり自分の経験してきたこと以外のことに恐れを抱く。だからロレンツみたいな、生育環境が違うやつがいるだけで異なる価値観への恐れが減る……ことを見越していたんだが、そうじゃないかもな。ロレンツォの言うとおり、結果が全てだ。それなのに文句を言うチームメイトはおかしいな」
「だろ?!」
「おかしいが、ロレンツォ、お前もじきに忖度ってやつを学んだほうがいい……ロレンツォが楽に生きるために」
「そんなもん、いらない。俺は金にならない、形にないものは信じない。他人からの信頼も必要ない。そんなもの、すぐ無くすか……自分から壊しちまうんだ」
「悩むことも大事だがな、夜は悩まないほうがいい。グラウンドに行こう。少しだけ練習してから寝よう」
「いいよ」
「ありがとう、ロレンツォ」
こうして俺は、ちょっと問題を起こすとロレンツォが構ってくれることを学んでしまった。これは大人になってからも続くんだけど、徐々に構ってもらえなくなった。そのうえ、構ってもらいたくて問題行動を起こしてるということがスナッフィーにバレてるみたいで恥ずかしくなった。そんなことをしてまでスナッフィーの気を引きたいみたいで。
でも一番気を引けるのは俺が結果を出せた時だ。それに気づいてからは俺はもうそりゃあ真面目にサッカーした。ちょっとでもスナッフィーの視界に入れるように、スナッフィーの夢を叶える道具としてうまく使えるんだぜとアピールした。虚しくなんかなかった。
死んだ親友とスナッフィーが写ってる写真を写真立てに入れてるのを見て、俺はいつもなんだか気が重かった。生きて、スナッフィーのことを見てるのは俺なのに、スナッフィーは地獄の釜の中をずーっと眺めて、時々現実を見ては親友の影をグラウンドの中に探している。
別に虚しくなんかない。俺はスナッフィーとは金と契約で繋がってるだけだし。信頼とか、無いし。そのはずなのに、俺何故かそんなスナッフィーに苛立ちを感じている。スナッフィーは気づいてか気づいてないのか、何も言わずに俺らのプレーを上から目線で眺めている。むかつく、嫌い、いなくなれ。そんな単純な苛立ちでしか自分の感情を表現できない。だから多分俺がチームメイトを殴ったのってスナッフィーのせいじゃないのか? いやでも、言われたな。自分の問題を他人のせいにするなって。
「殴ったんだって? お前のパスをこぼしたチームメイトを」
「説教は受けてやったよ」
へらへらと笑う俺のツラを、オヤジだったなら起き上がれなくなるまでぶん殴ったけどスナッフィーはただその瞳をぎょろぎょろと動かして黙っている。
「やっとサッカーしてやってもいいかな? と思ったのにさ、俺よりヘタクソなやつばっかりで頭きたんだよ。俺よりずっと長く練習してきても俺以下の実力しか出せない奴らが結託して、えらそうにお前のやり方は良くないなんて言うんだぜ。スポーツは結果が全てだろ。馴れ合いとか、感傷とか。一番いらないものにこだわってるやつらばっかりなんだよ」
俺は言い訳するように長々と俺を怒らせた奴の方が悪いと並べ立てた。かっこ悪い。これじゃガキみたいだ。俺の言葉を黙って聞いていたスナッフィーは、トチって死んだ親友のことでも思い出してるのか目をすっと細めて、俺を見た。そしてそれを誤魔化すかのように小脇に抱えたボールを足先でいじり始めた。
「ロレンツォ、お前の言うとおりでもあるし、俺の経験則で言うと少し違うと思う。努力の積み重ねを美しいと思うのはどこでも一緒だ。サッカーはチームスポーツだからみんなが美しいと言うものを美しいと言っておくだけでもその集団には親しみを持ってもらえるんだよ。これは大人だから知ってるズルだ。大人はズルの手数が子供より多く知ってる。その代わり自分の経験してきたこと以外のことに恐れを抱く。だからロレンツみたいな、生育環境が違うやつがいるだけで異なる価値観への恐れが減る……ことを見越していたんだが、そうじゃないかもな。ロレンツォの言うとおり、結果が全てだ。それなのに文句を言うチームメイトはおかしいな」
「だろ?!」
「おかしいが、ロレンツォ、お前もじきに忖度ってやつを学んだほうがいい……ロレンツォが楽に生きるために」
「そんなもん、いらない。俺は金にならない、形にないものは信じない。他人からの信頼も必要ない。そんなもの、すぐ無くすか……自分から壊しちまうんだ」
「悩むことも大事だがな、夜は悩まないほうがいい。グラウンドに行こう。少しだけ練習してから寝よう」
「いいよ」
「ありがとう、ロレンツォ」
こうして俺は、ちょっと問題を起こすとスナッフィーが構ってくれることを学んでしまった。これは大人になってからも続くんだけど、徐々に構ってもらえなくなった。そのうえ、構ってもらいたくて問題行動を起こしてるということがスナッフィーにバレてるみたいで恥ずかしくなった。そんなことをしてまでスナッフィーの気を引きたいみたいで。
でも一番気を引けるのは俺が結果を出せた時だ。それに気づいてからは俺はもうそりゃあ真面目にサッカーした。ちょっとでもスナッフィーの視界に入れるように、スナッフィーの夢を叶える道具としてうまく使えるんだぜとアピールした。虚しくなんかなかった。
死んだ親友とスナッフィーが写ってる写真を写真立てに入れてるのを見て、俺はいつもなんだか気が重かった。生きて、スナッフィーのことを見てるのは俺なのに、スナッフィーは地獄の釜の中をずーっと眺めて、時々現実を見ては親友の影をグラウンドの中に探している。
別に虚しくなんかない。俺はスナッフィーとは金と契約で繋がってるだけだし。信頼とか、無いし。そのはずなのに、俺何故かそんなスナッフィーに苛立ちを感じている。スナッフィーは気づいてか気づいてないのか、何も言わずに俺らのプレーを上から目線で眺めている。むかつく、嫌い、いなくなれ。そんな単純な苛立ちでしか自分の感情を表現できない。だから多分俺がチームメイトを殴ったのってスナッフィーのせいじゃないのか? いやでも、言われたな。自分の問題を他人のせいにするなって。
そういうバカみたいな悩みはサッカーしてる時だけはついてこなかった。俺はただ、俺の中の嫌な俺が顔を出さないようにサッカーをしている。なんでもよかったんだ。サッカーじゃなくても。でもサッカーじゃなくちゃ、俺はここに居ない。まだあの今生の延長線上にある地獄で息ができなくなっているに違いない。ある意味、俺を救おうとして手放した大人より悪質なのかもしれない。あーあー、やめ。サッカーしよう。
言葉になると形がわかる #ブルーロック #カップリング #ひおから
永遠にならないふたり #ブルーロック #カップリング #ひおから
永遠にならないふたり #ブルーロック #カップリング #ひおから
旅人、なんて名前がついているくらいだから他人に対しての強い執着がなく、言うなればドライな人だった。僕にアドバイスじみたことを言ったかと思えば、ふらりとどこかへ消えた。消えては、現れ、僕に構ったり無言でボールを蹴って寄越しては言葉を交わすことなく語り合った。
僕たちみたいにサッカーをする奴は、サッカーをすることで通じ合えることがある。言葉にしないとわからないこともあるけど、言葉にしなくてもわかることがある。例えば、僕のサッカーへの興味の薄さはすぐに感じ取られてしまった。
バンビ大阪ユースは、未来のサッカープレイヤーを夢見てサッカーが大好きな人ばかりだ。そんな中で、他人と違う気持ちを抱いていたのだから行動に現れたのかもしれない。烏くんからそのことを言及されて湧いた感情は、一番近い言葉を使うなら……安心というものがふさわしい。やっと自分の中で言葉にできずわだかまっていた感情が言葉になった瞬間だった。形のないもやが自分の中にあるより、誰かが使い古した言葉にしたほうが腹落ちする。まだ完全に理解したとは言えないけど、烏くんが僕の世界に色をつけたのは確かだった。
烏くんにとっては何気ない一瞬なのだろうけど、僕は深く楔を打ったみたいに永遠になってしまった。自分への期待というものが掴めないまま、烏くんと相対することになりそうだ。言葉を交わさなくてもいい、プレーで見せるから。結果を期待するのは苦手だけど、新しい自分に出会えそうで少しだけ、わくわくしてる。
旅人、なんて名前がついているくらいだから他人に対しての強い執着がなく、言うなればドライな人だった。僕にアドバイスじみたことを言ったかと思えば、ふらりとどこかへ消えた。消えては、現れ、僕に構ったり無言でボールを蹴って寄越しては言葉を交わすことなく語り合った。
僕たちみたいにサッカーをする奴は、サッカーをすることで通じ合えることがある。言葉にしないとわからないこともあるけど、言葉にしなくてもわかることがある。例えば、僕のサッカーへの興味の薄さはすぐに感じ取られてしまった。
バンビ大阪ユースは、未来のサッカープレイヤーを夢見てサッカーが大好きな人ばかりだ。そんな中で、他人と違う気持ちを抱いていたのだから行動に現れたのかもしれない。烏くんからそのことを言及されて湧いた感情は、一番近い言葉を使うなら……安心というものがふさわしい。やっと自分の中で言葉にできずわだかまっていた感情が言葉になった瞬間だった。形のないもやが自分の中にあるより、誰かが使い古した言葉にしたほうが腹落ちする。まだ完全に理解したとは言えないけど、烏くんが僕の世界に色をつけたのは確かだった。
烏くんにとっては何気ない一瞬なのだろうけど、僕は深く楔を打ったみたいに永遠になってしまった。自分への期待というものが掴めないまま、烏くんと相対することになりそうだ。言葉を交わさなくてもいい、プレーで見せるから。結果を期待するのは苦手だけど、新しい自分に出会えそうで少しだけ、わくわくしてる。