洗モル中… #モルカー #夢小説

 機械の洗車もいいけど、わたしは断然手洗い派だ。洗車中じっとしているわけじゃないから全身ずぶ濡れは確定だし、それなりの大きさ、毛並みがあるから大変な作業ではあるんだけども終わった後のふわふわ感は機械には敵わない。と信じたい。
「プリンちゃん、シャワーだよ」
「ぷい」
 プリンと名付けたモルカーは、名前に恥じる墨色をしている。この前キャンプにいったときに落ち葉にはしゃいでしまい全身で土に向かってごろんごろんと転げていたのだから納得の汚れ具合だ。
 プリンちゃんはそれなりにシャワーというものがわかってきたのか、ブラッシングの際も大人しくお腹を地面にくっつけてやりやすいようにしてくれる……のは最初の五分間だけなのでおやつ代わりのお野菜をたくさん持ち込む。
 お湯をかけて洗剤を泡立てていくのだが、寒がらないように手早く済まさないと逃げたりすねたりしてしまう。モコモコの泡に包まれたプリンちゃんはうっとりするくらいかわいいのだけど、写真なんか撮ってたら早くしろーっ!ってぷいぷい泡ぶくを飛ばして来るから懸命に洗うに専念する。
 最後にお湯をかけている時は気持ちよさそうで、眠たそうだ。大抵洗車のあとは眠っている。ぷいぷい言いながら。
 ドライヤーは音が苦手らしくちょっとプルプル震えている。でもこの工程を省くわけにはいかないのでニンジンをひとかけらあげた。夢中になってカリポリカリポリかじってる間に乾かすと、フンワリ……フカフカのモルカーが一体……
「プリンちゃんが一番かわいいよ」
「ぷ」
 知らんよ、なのかわかってるよ、なのか知る由もない。プリンちゃんはいま世界で一番フカフカなモルカーであることは間違いない。汚れがちなお腹の毛だってもぐりこんで洗ったからもうモッフモフだ。かわいいプリンちゃん。ずっと一緒にいてね。

2021/1/21