あたたかなひとみ #モルカー #夢小説

「やばい、もう燃料がない」
 うっかりしているとないもの。モルカーの燃料。
 メーターを見てびっくりしたけどすぐ先にお野菜スタンドがあって安心した。スーパーで買えるような人間用の野菜を与えてもいいけど、大きさの問題でコスパが悪すぎるからモルカー用の野菜を売っているモルカースタンドに寄る。
「レタス入ってるといいねえ」
 基本的に三千円分、二千円分くらいの区分けがあって中身の野菜は選べない。ヌヌヌと千円札を三枚飲み込んだお野菜コーナーは、コーヒーの自販機のようにカゴを下に置いておくとドカドカとお野菜が落ちてくる仕組みだ。
 レタスとニンジンと小松菜。まあまあ悪くない取り合わせだ。停車中のプリンちゃんも車輪?前腕?をモルモル回して早くレタスをよこせよこせと言っている。ような気がする。
「今度はどこにいこうか」
「ぷいぷい」
 どこでもいいよ、なのかモルカーも入れるという温泉、モル湯につかりたいから箱根がいいなのか、海が見たいから茅ヶ崎にいこうなのかわからないけど、どこにいくにもプリンちゃんと一緒だ。そんなこと知らない風のプリンちゃんはうれしそうにカリポリしている。
「おいしい?」
「ぷい」
 黒豆のようなつやつやした瞳がスタンドの灯りに照らされてさらにつやめいている気がする。せわしなく動くほっぺとお口だけが音を作っている。


2021/1/21