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みやこ 成人/神奈川への望郷の念が強い

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2023年5月の投稿4件]

2023年5月20日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

太陽のようなきみ #夢小説 #男夢主 #赤木晴子

太陽のようなきみ #夢小説 #男夢主 #赤木晴子

 桜木みたいな恥も外聞もなく好きだって言えるような奴の方が人生上手くいきそうだよな。
 
 そんな僻みっぽいやつだから、俺は晴子ちゃんに「ごめんね」されちゃったのかもしれない。涙も出てこない。見る目がないやつだな、と貶すこともできない。まだ好きだから。
 桜木はバスケットボールプレイヤーが好きだという晴子ちゃんの言葉通り、バスケを始めたらしい。
 そんな、そんなこと言うなら、俺だって小学校からずっとバスケやってるんだけどな。……プライドを晴子ちゃんのために投げ捨てて、愛を乞うこともできない俺だからダメだったのかも。結局俺は晴子ちゃんのことが好きだと感じていながらも自分が一番可愛くて大事なんだ。そういう、ずるさみたいなのが晴子ちゃんには見えていたのかもしれない。桜木にとっては、何百人ふられた後のたまたま晴子ちゃんなのかもしれないけど、俺はそうじゃない。俺の方がずっと前から好きだった。
 好き、が早いもの勝ちじゃないっていうのは俺が一番よくわかってるのにな。真夏の体育館で桜木のこと応援してる晴子ちゃんを横目に俺はバイトへ向かった。俺はたまたま、姉ちゃんがバスケ部のマネージャーしてるから差し入れって形にすれば晴子ちゃんの視界に入れるんだ。そうじゃなきゃ誰がバスケ部なんかに差し入れなんかするかよ。
 日差しが俺を責めるように差し込む。俺は悪くない。ただ、人を好きになっただけなんだ。

個性の証明 #カップリング #ヒロアカ #荼炎 #燈炎

個性の証明 #カップリング #ヒロアカ #荼炎 #燈炎


 西暦20XX年——ビルの光が空を覆い、人々が空を自由に駆けるようになっても、人権や個性がなくなっていない近未来。

「燈矢の体を捨てる……?」
「ええ、騙し騙しやってきましたけど、もう燈矢さんの体は限界なんです。ボロボロのまま焦凍さんと戦って、さらにボロボロになって、今までつぎはぎしてきましたけど、限界です」
「肉体を捨ててしまったら、燈矢はどうなるんです」
「そうですね。脳を機械の体に乗せましょう」
 お医者様がいうことは突飛なことに聞こえたが、国内で五つの症例があるという。脳を取り出して機械の脊髄や諸神経と繋ぎ、肉体が死んだとしても生きることができるという。燈矢は一度体調を崩してから二ヶ月意識がないのでは本人に確認できないので親である俺たちが決めれるという。
 冷は、生かしてやりたいという。
 例え死刑を待つ身であっても、目が動いて私とコミュニケーションをとることができていた燈矢をみすみす死なせてしまいたくはないという。
 俺は、決めかねていた。
 手術では個性を引き継ぐことはできないという。自らの個性に強くこだわり、指先すら動かせない体でもお父さんに俺の技を見てもらいたいんだとタッチパッドを使ってコミュニケーションをとった燈矢が、果たして個性を持たない自分を受け入れることができるだろうか。
 時間は予断を許さず、俺は疑問を持ちながらも燈矢の命を諦める決断はできなかった。
 手術は成功した。
 燈矢は肉体の死による死を免れ、医療によるメンテナンスを生涯必要とする体になった。
 夏雄が見舞いに行った時に目を覚ましたという燈矢は、指先を見つめては涙をこぼしたという。指先、それは最初に炎を灯した器官だと気づき、病室に急いだ。
 
「お父さん、俺」
「燈矢」
「本当に……何にもなくなっちゃった……」
「燈矢、お前はお前でいてくれるだけでいいんだ」
「俺は、お父さんに認められる俺以外を俺と認めてやれないよ」
「燈矢」
「お父さんならわかってくれると思った……個性がない自分を認めてやれない気持ちがさ……死刑になるために生かされたの? 俺」
「……燈矢、それは」
「もういいよ、バイバイ。お父さん。俺はお父さんが全てだったんだよ」
「と「もう帰って」
 
 それが永訣の別れとなるとは考えても見なかった。燈矢は死刑判決を受け、世間の声に押されて異例の早さで刑が執行された。頸部を縄で圧迫された跡が残った遺体が轟家に戻ってきた。
 燈矢は最後の食事をとらずに死刑に望んだらしい。自ら栄養を取らなくても生きながらえる体を忌まわしく思っていたらしく、体を壁にぶつけるなどの自傷が目立ったという。
 脳だけを燃やし、燈矢の骨壷に納めた。陶器の壺に収まった燈矢はまるで初めて抱いた時のように小さく、頼りなかった。
 
 『個性の証明』 完 

2023年5月7日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

鯉のぼりばっかり景気がいい #ヒロアカ #カプなし #轟冬美

鯉のぼりばっかり景気がいい #ヒロアカ #カプなし #轟冬美

夏も焦凍もこの家には寄り付かないのにお父さんは、しぼんだ身体を折り曲げて金太郎人形を玄関に飾り、鯉のぼりをあげる。
この辺じゃいちばん大きな鯉のぼりだ。

健康を祈る男児はだれひとりここにはいないのに、鯉のぼりは風を受けて元気にはためいている。夏くんはゼミのみんなと飲み会、焦凍は学校、燈矢兄さんは刑務所。
この鯉のぼりを買った時は燈矢兄さんの初節句だという。その頃にはまさかこんなことになるなんて誰も想像してなかった。
あの、燈矢兄さんの罪の告白……
轟家の罪の告白を思い出すたびに冷や汗が出る。けどほんの少しだけ、うれしかった。燈矢兄さんが生きていてくれて。そして期待した。もしかしたら燈矢兄さんが焦凍を虐待するお父さんを止めてくれないかなって。私じゃできなかったことを燈矢兄さんなら叶えてくれるんじゃないかって。
でも現実はそううまくいかない。燈矢兄さんは燈矢兄さんのためだけに行動した。やっぱり私の中のわだかまりは私か解決するしかなさそうだ。
燈矢兄さんのための仏壇はあの時から閉まったままだ。たぶんお父さんがやった。生きている人間の菩提を弔っても仕方ないもんね。そういう時ばっかり、マメなんだから。

2023年5月1日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

 お題:冬 #カップリング #ヒロアカ #荼炎 #燈炎

 お題:冬 #カップリング #ヒロアカ #荼炎 #燈炎

 夏は膿が止まらないけど、冬は肌というか、肌の下の筋組織が軋んで痛む。
 痛むからといってそれから逃れる術はなく、ただうーうーと、うめくことしかできない。
 お父さんは夏にできた膿を拭うより冬の肌の軋みの方が見ていてつらいらしい。前者は自分で膿をぬぐってやることができて、目に見えてそして行動として何かやったつもりになれるからいいのかもしれない。
 お父さんはじつに甲斐甲斐しく俺の世話を焼く。この1%でも俺の子供時代にしてくれていたらこんなことにはなってないはずなんだけど、後悔先に立たず。
 お父さんの罪であり、個性社会の膿であり、お父さんの後悔そのものである俺。ほんとはそんなふうに生まれてきたはずじゃなくて、焦凍とは性能が違うだけでSSRだったはずなんだよ。そうじゃなきゃ、あんなに焦凍やお父さんのことを追い詰めることはできなかっただろ。
 数々のifをかいくぐって、俺は今お父さんの負債としてこの家の畳のシミの範囲を広げることしかできない。
 どこで間違った?
 
 何がいけなかった。
 
 一緒に考えて、手を取り合って答えを出そう。この奇跡みたいな時間を使ってさ。俺のこと見てくれるんでしょ? それってほんとに、ただ見るだけの見る? 見て、聞いて、答えてくれる見るじゃなくて? 熱で風の音がして、よく聞こえないんだ……