個性の証明 #カップリング #ヒロアカ #荼炎 #燈炎
西暦20XX年——ビルの光が空を覆い、人々が空を自由に駆けるようになっても、人権や個性がなくなっていない近未来。
「燈矢の体を捨てる……?」
「ええ、騙し騙しやってきましたけど、もう燈矢さんの体は限界なんです。ボロボロのまま焦凍さんと戦って、さらにボロボロになって、今までつぎはぎしてきましたけど、限界です」
「肉体を捨ててしまったら、燈矢はどうなるんです」
「そうですね。脳を機械の体に乗せましょう」
お医者様がいうことは突飛なことに聞こえたが、国内で五つの症例があるという。脳を取り出して機械の脊髄や諸神経と繋ぎ、肉体が死んだとしても生きることができるという。燈矢は一度体調を崩してから二ヶ月意識がないのでは本人に確認できないので親である俺たちが決めれるという。
冷は、生かしてやりたいという。
例え死刑を待つ身であっても、目が動いて私とコミュニケーションをとることができていた燈矢をみすみす死なせてしまいたくはないという。
俺は、決めかねていた。
手術では個性を引き継ぐことはできないという。自らの個性に強くこだわり、指先すら動かせない体でもお父さんに俺の技を見てもらいたいんだとタッチパッドを使ってコミュニケーションをとった燈矢が、果たして個性を持たない自分を受け入れることができるだろうか。
時間は予断を許さず、俺は疑問を持ちながらも燈矢の命を諦める決断はできなかった。
手術は成功した。
燈矢は肉体の死による死を免れ、医療によるメンテナンスを生涯必要とする体になった。
夏雄が見舞いに行った時に目を覚ましたという燈矢は、指先を見つめては涙をこぼしたという。指先、それは最初に炎を灯した器官だと気づき、病室に急いだ。
「お父さん、俺」
「燈矢」
「本当に……何にもなくなっちゃった……」
「燈矢、お前はお前でいてくれるだけでいいんだ」
「俺は、お父さんに認められる俺以外を俺と認めてやれないよ」
「燈矢」
「お父さんならわかってくれると思った……個性がない自分を認めてやれない気持ちがさ……死刑になるために生かされたの? 俺」
「……燈矢、それは」
「もういいよ、バイバイ。お父さん。俺はお父さんが全てだったんだよ」
「と「もう帰って」
それが永訣の別れとなるとは考えても見なかった。燈矢は死刑判決を受け、世間の声に押されて異例の早さで刑が執行された。頸部を縄で圧迫された跡が残った遺体が轟家に戻ってきた。
燈矢は最後の食事をとらずに死刑に望んだらしい。自ら栄養を取らなくても生きながらえる体を忌まわしく思っていたらしく、体を壁にぶつけるなどの自傷が目立ったという。
脳だけを燃やし、燈矢の骨壷に納めた。陶器の壺に収まった燈矢はまるで初めて抱いた時のように小さく、頼りなかった。
『個性の証明』 完
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