水底 #呪術廻戦 #禪院真希 #夢小説 #女夢主
真希ねえさまが出て行ってしまうと聞いてから、私の心は休まりませんでした。
禪院の男たちから我が身を守る……貞操を守り、同意なく孕まないでいるには、禪院の女は弱すぎました。そんな弱い禪院の女の中でも真希ねえさまは私の希望でした。
もしかしたら、私も頑張れば真希ねえさまのようにできるかもしれない、と。
でも、真希ねえさまが出ていく日が近づくにつれてそれは違うと実感するようになりました。
真希ねえさまは、どんなにこの世を恨んでも、絶望に足をすくわれそうになっても歩みを止めないのです。どんなにいじめられても、悪態をついて立ち上がるのです。私のように、されたことにばかり目を向けていつまでもそこで嘆いてるような女とは違ったのです。
私は禪院と他の呪術の家系との婚姻関係を結んで関係を確認する駒以外の役割はできないでしょう。
もう抗ったり、新しい世界に希望を持って駆け出す気力は無いのです。
真希ねえさまのように、叩かれても叩き返したり、次叩かれないようにするために頭を回すこともできず、ただ怯えて身体を縮めることしかできないのです。これは努力がどうとかでは無いと思っています。私が弱いから、と卑屈になる気もありません。
真希ねえさまのことは羨ましいとは思いますが、まだ、この禪院の女という生を続けるつもりなのだと、驚きと侮蔑の念があります。もうやめればいいのに、外に行ってもつらいだけだと思うのですが……
「おお、[FN:ナマエ]。見送りに来てくれたのか」
「ねえさま」
「こんな夜逃げみたいな出発になったけど、まあなんとかやるから」
「ええ、その、私……ねえさまのこと」
「うん、応援してくれんだよな」
「……ええ。ねえさまがのゆく先が……幸せでありますように」
「はは、そんなことできると思ってないだろ」
「もしかしたら、外の世界はここより良いところかもしれませんし」
「どうかな。わからない」
「けど、行くんですか」
「ああ」
私の記憶の中のねえさまは、笑っていました。
それから、長い時が流れました。
禪院の男の雑巾のように扱われ、そう生きることに何も思わなくなった、この世の何にも思うところがなくなった頃、真希ねえさまは帰ってきました。
笑顔などなく、ただ禪院の男たちを鏖殺していきました。私はそれを見て、真希ねえさまは外の世界で本当に幸せだったのか聞いてみたくなりました。
「ねえさま」
「[FN:ナマエ]か」
「そうです。真希ねえさま、外の世界は、楽しかったですか?」
「……そうだなぁ、うーん……結果的にそんなにハッピーってことではなかったけど、過程は、良かった」
「そうですか。よかったですね」
「なんかうれしくなさそうだな。[FN:ナマエ]、私に不幸になってほしかったか?」
「……そうでないと、あの時真希ねえさまに私も連れてってと言えなかった私のことが、許せなくなりますから」
「そうか。まぁ、お疲れ。[FN:ナマエ]、この死体の処理、頼めるか?」
「わかりました。全部混ぜて同じ穴に適当に埋葬します」
「いいね。じゃあ、また」
「真希ねえさま、元気で」
「[FN:ナマエ]もな」
私の最後の記憶の中のねえさまは、頬を歪めるようなつまらない笑い方をしていました。畳む
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