路傍の石風情が、星になりたいと願うなんて #ヒロアカ #夢小説 #男夢主 #八木俊典
俺が一番になりたいって言えなかったから、今この現実が俺に与えられるってわけ。一番になりたい、って言ってたら結ばれたかというとそうでもないだろう。けどこんなに執着することだってなかったはずだ。
テレビやSNSで活躍を知るたびに胸が締め付けられる。ネットで叩かれてるのを見るたびに怒りに震えた。彼の手は二本しか生えてないのだから、みんなを救いきれるはずがないのに、救われなかった奴らが恨みを抱いている。
八木だって、一人の人間なんだよ。
今、あんなふうに目に見えるもの全て救おうとする彼を見てると信じられないかもしれないけど、人間なんだよ。俺みたいに、ヒーロー科まで出たのに怪我で活動できなくなったやつのことまで覚えていて、救ってくれようとするんだから。
「ナマエくん、調子はどうだい?」
「ああ、ダメ。もうヒーローはできないよ。俺これからどうやって生きればいいんだろ。ヒーロー科みたいな単科高校出てたら、仕事なんて見つからないよ。ヒーローやらないヒーローって、何?」
せっかく訪ねてくれた八木に、俺は饒舌に絶望を吐いた。そんなこと休みの日にまで聞きたくないだろうに、八木はやさしく微笑んで、俺の肩に手を乗せた。
「ナマエくん。前線に立っているだけがヒーローじゃない。敵と戦うだけがヒーローじゃない。大丈夫!ナマエくんのような人あたりのいい人はどこでだって重宝されるよ」
「ナンバーワンヒーローにお墨付きもらったんなら、励みになるな」
「元気なナマエくんとまた一緒に活動できたらうれしいな」
そう言って笑った八木は、十年以上の時を経て痩せほそった姿でテレビに映し出された。オールマイトの時代が終わったと強調するアナウンサーの言葉が俺の心に深く突き刺さった。
俺を励ましてから、いやそれよりずっと前から八木は傷ついていて、でもその傷のこと誰にも言えてなかったんだよな。無論、俺にも。
学校では結構仲良くしていたつもりなんだけどな、その程度だったのか。八木から俺に対する信頼なんて。八木のことだから、巻き込まないためだなんて言いそうだけど、わかるだろ。ヒーローなら。大切なひとが辛い時、辛いと言ってくれないことのほうが辛いって。
この戦いが終わったら、また八木に連絡してみようかな。酒でも飲んで、そしたらまた、腹を割って話せるかもしれないし。希望は捨てない。だってヒーローが希望を失ったら、誰が希望を、綺麗事を、理想を語るんだっての。
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みやこ 成人/神奈川への望郷の念が強い
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