About

ここは非公式二次創作小説置き場です

悪意のある書き方でなければ、TwitterをはじめとしたSNSへのシェアOKです

夢とカプが混在しています/#夢小説 タグと#カップリング タグをつけていますので、よきに計らっていただけますと幸いです

Owner

みやこ 成人/神奈川への望郷の念が強い

(waveboxへ飛びます/めちゃまじコメントうれしい/レスはてがろぐ) てがろぐ(ゲロ袋/ブログ/告解室)

Input Name

Text

タグ「だいなま」を含む投稿2件]

泥の中でいっしょだよ #夢小説 #ヒロアカ #だいなま

泥の中でいっしょだよ #夢小説 #ヒロアカ #だいなま

 だいなまちゃんは、わたしを助けてくれたんだよ。
 
 “イギョウ”の人たちがおとうさんのしごとをうばってしまったと言って、いつもお家にいるようになった。わたしが学校からかえってくると、お父さんはお酒くさいいきを吐いて「うるせえ」とどなってカンを投げてくるようになった。
 わたしはおとうさんといっしょにいたくなくて、公えんに行った。だいなまちゃんはそこにいたんだ。
「ク?」
 くりくりおめめがかわいいだいなまちゃん。だいなまちゃんは「ひろってあげてください」とダンボール箱に入れられて、お腹がぐうぐうなっててかわいそうだった。わたしよりかわいそうなコを見つけてわたしは嬉しかった。わたしの手でも助けることができるコがいて、弱いだけの子どもじゃないんだって思えた。
 だいなまちゃんに、お母さんがくれたお昼ごはんのお金を使ってメロンパンを買ってあげた。わたしと半分こなのに、とっても喜んでくれた。「クソが! クソが!」っていう鳴き声が喜んでいるのかはわからないけど。
 だいなまちゃんはお家にはつれてかえれない。お父さんの気にさわるのはまちがいないから。さむい雨がふる中、泣いてすがるだいなまちゃんをふりはらっていくのは心がいたいけど、どうにもできなかった。うちのゴミ箱に入っていた古いセーターを入れたけど、温まりたいだけじゃないんだ。わたしも同じだからわかる。だれかにそばにいてほしいんだよね、だいなまちゃん。だいなまちゃんの小さなおててをにぎって、ごめんねと言ったけどだいなまちゃんは泣いていた。
 いつかだいなまちゃんが本当の家族……わたしみたいな弱い子供じゃない、だいなまちゃんのことを助けてくれる人がくるからね。それまでわたしが生きのびさせないと。運動会のバトンリレーみたいに次の人に渡せるように。

泥の底 #ヒロアカ #夢小説 #だいなま

泥の底 #ヒロアカ #夢小説 #だいなま
⚠️暴力表現
⚠️生き物への加害

 鳴き声が「クソが」なんて、この世界に生きる生き物として不遇すぎる。それが私が抱いた感想だった。この小さな生き物が罵倒の意味をもってこんな言葉を吐いているとは考えにくい。ただ、鳴き声がこの言語圏で意味をもってしまっているばかりに、この生き物は鬱屈した害意を一身に受けている。
 一身に、という表現は危ういかもしれない。一つの種族が、「想像の及ぶかぎり悪いことをしてもいいもの」と大多数が判断して、普段敵からいいように押し込められたフラストレーションをぶつけられているのだ。
 本邦では天地開闢の昔から、多数がしている行動に対して善悪の意識が働きにくいように思える。最悪の組み合わせだ。
 動物の死骸は適切に処理しないといけないのに、だいなまは動物だとも判断されず生ゴミとしてゴミに出される。今日もどこかの家のゴミ袋にだいなまと思しき破片(身体のパーツ)がのぞいている。あわれだいなまは、痛みを感じ、感情を持ち、ある程度の知性を持つ。それを虐げ、およそ生き物にするべきではない加害の蠱毒にだいなまを浸して喜ぶ。弱りゆく鳴き声を聞いて心を潤し、助けを読んでいるであろう鳴き声が……生きているのに助けが来ないと察し、悲鳴すら出さずに命の灯火をゆらめかせ、そして消えるのを恍惚の目で眺めた。それが社会の弱者であり、ピラミッドの限りなく底に位置する、個性が強く発現しなかったものの生存戦略なのだということだろうか。
 自分が底に沈殿する不要物でないと証明することこそ、弱く、助けを呼ぶ力がなく、他者を貶す言葉を鳴き声として持つ生き物を苦しめて殺すことが、弱く生まれた人間の心のオアシスなのだとしたら、誰が彼らを責められようか。
 いや、責められるべきなのだ。
 一方的に虐げられる生き物があってはならない。それは普遍の真理だろう。真理というより、倫理であろう。
 誰もが正しく在りたいという善性を宿しているはずなのに、善性はあまりに脆く儚い。だいなまという都合のいい悪意の矛先を、神は何のために遣わせたのか。なぜだいなまは、悪意の矛で全身を貫かれた姿を民衆に喜ばれなくてはならないのか。それは私がだいなまを虐げる側の人間の属性から彼らを見ているからそう思うのであって、今なお暴力にその身を生きながらにして焼かれているだいなまにとっては、そんなことを考える余裕はなく、どうにかしてこの状況から逃れる術を探しているのだろう。
 ああ、哀れなだいなま。
 願わくば、彼らを守る法が早急に成立すること……いや、この誰もが命の危険に晒されるストレスを感じる生活が終わりを告げてくれれば一番いいのだが。
 夜明け前が一番暗いというが、だいなまにとってはずぅっと夜のままだ。ああ、哀れなだいなま。優しく抱きとめられ、愛されるのはほんの一部の個体だという。あのひどい鳴き声に耐えられる心の広い人間に見つかるという運のめぐりあわせがよければ、あるいは、だいなまは……
 
2023/3/21