お題:冬 #カップリング #ヒロアカ #荼炎 #燈炎

 夏は膿が止まらないけど、冬は肌というか、肌の下の筋組織が軋んで痛む。
 痛むからといってそれから逃れる術はなく、ただうーうーと、うめくことしかできない。
 お父さんは夏にできた膿を拭うより冬の肌の軋みの方が見ていてつらいらしい。前者は自分で膿をぬぐってやることができて、目に見えてそして行動として何かやったつもりになれるからいいのかもしれない。
 お父さんはじつに甲斐甲斐しく俺の世話を焼く。この1%でも俺の子供時代にしてくれていたらこんなことにはなってないはずなんだけど、後悔先に立たず。
 お父さんの罪であり、個性社会の膿であり、お父さんの後悔そのものである俺。ほんとはそんなふうに生まれてきたはずじゃなくて、焦凍とは性能が違うだけでSSRだったはずなんだよ。そうじゃなきゃ、あんなに焦凍やお父さんのことを追い詰めることはできなかっただろ。
 数々のifをかいくぐって、俺は今お父さんの負債としてこの家の畳のシミの範囲を広げることしかできない。
 どこで間違った?
 
 何がいけなかった。
 
 一緒に考えて、手を取り合って答えを出そう。この奇跡みたいな時間を使ってさ。俺のこと見てくれるんでしょ? それってほんとに、ただ見るだけの見る? 見て、聞いて、答えてくれる見るじゃなくて? 熱で風の音がして、よく聞こえないんだ……