天より高く海より深い愛 #ヒロアカ #カップリング #荼炎 #燈炎
夏は燈矢の瑕から膿が止まらない。
時には肉が縫い目から剥がれて落ちていることすらある。固形物を食べているところを見たことがない。さまざまな要因から、燈矢はもう長くないということを思い知らされる。燈矢もそれがわかっているらしく、刑罰の一種として個性を抑制させる薬をわざと飲まずにおいて、俺を焼き殺そうとする。
一度憎んだ父親が甲斐甲斐しく介護をするのは嫌なのだろう。けれど冷や冬美、夏雄や焦凍にも危害を加えてしまったらそれこそ取り返しがつかない。だからこうして俺の命だけで勘弁してもらおうという腹だ。
そんな浅はかな計略はとっくに見抜かれているらしく、燈矢は俺がどれだけ献身的に世話をしようと、話しかけようとも反応は剣呑なものだった。
「お父さん、俺が早く死ねばいいって思ってるだろ」
「そんなこと思わない。燈矢、俺を信じろ」
「信じろ? 信じて、捨てただろ」
「捨てたわけじゃ」
「結果的に捨ててんの。焦凍が生まれるまでに生んだ命すべてに謝れ」
「燈矢、俺は」
「うるせえッ!!」
罵声ともに、蒼炎が上がる。燈矢の居室はどれだけ塗り直しても焦げが絶えることはない。最初こそ塗り直していたが、有機溶剤に引火してからはそのままにしている。いっそこの炎に巻かれてしまったら燈矢は気分がスッキリするだろうかなんて考えて炎に触れようとしたら、ふっ、と炎は消えた。
「死ぬぞ」
「……」
「お父さん、お前は生きて償い続けないといけない。死ぬなんて、俺が許さない。俺が死んでも、死ぬな。後追いなんかして楽になろうとするなよ」
「わかっている、わかっているが……」
「どうしても辛くて、生きていたくないなら……その時は俺が殺してやるよ」
燈矢は、修行をせがんで俺の手を引いていた時と同じ笑顔でそう言った。
2022/7/29
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2023年3月14日の投稿[1件]