泥の中でいっしょだよ #夢小説 #ヒロアカ #だいなま

 だいなまちゃんは、わたしを助けてくれたんだよ。
 
 “イギョウ”の人たちがおとうさんのしごとをうばってしまったと言って、いつもお家にいるようになった。わたしが学校からかえってくると、お父さんはお酒くさいいきを吐いて「うるせえ」とどなってカンを投げてくるようになった。
 わたしはおとうさんといっしょにいたくなくて、公えんに行った。だいなまちゃんはそこにいたんだ。
「ク?」
 くりくりおめめがかわいいだいなまちゃん。だいなまちゃんは「ひろってあげてください」とダンボール箱に入れられて、お腹がぐうぐうなっててかわいそうだった。わたしよりかわいそうなコを見つけてわたしは嬉しかった。わたしの手でも助けることができるコがいて、弱いだけの子どもじゃないんだって思えた。
 だいなまちゃんに、お母さんがくれたお昼ごはんのお金を使ってメロンパンを買ってあげた。わたしと半分こなのに、とっても喜んでくれた。「クソが! クソが!」っていう鳴き声が喜んでいるのかはわからないけど。
 だいなまちゃんはお家にはつれてかえれない。お父さんの気にさわるのはまちがいないから。さむい雨がふる中、泣いてすがるだいなまちゃんをふりはらっていくのは心がいたいけど、どうにもできなかった。うちのゴミ箱に入っていた古いセーターを入れたけど、温まりたいだけじゃないんだ。わたしも同じだからわかる。だれかにそばにいてほしいんだよね、だいなまちゃん。だいなまちゃんの小さなおててをにぎって、ごめんねと言ったけどだいなまちゃんは泣いていた。
 いつかだいなまちゃんが本当の家族……わたしみたいな弱い子供じゃない、だいなまちゃんのことを助けてくれる人がくるからね。それまでわたしが生きのびさせないと。運動会のバトンリレーみたいに次の人に渡せるように。