ミライドン夢小説
「みーくん、ご飯だよ」
家を出るまでなんの家事もしてきてなかったことを今更後悔してる。具材がぐじょぐじょになったサンドイッチを見下ろして、みーくんことミライドンはその目をぎょろりと動かしてまるで見定めてるみたいだ。
「早く食べちゃってよ」
俺は不恰好なサンドイッチをまじまじと見られているのが恥ずかしくて、みーくんのお口にサンドイッチを押し付けた。みーくんは特段文句を言うこともなくモサモサとサンドイッチを咀嚼している。サンドイッチの端っこからボロボロ落ちるベーコンやチョリソー、ポテトサラダを手で受け取ってやり、こっちも食べなと促す。
みーくんは素直なやつなので水色の舌をべろりと出して俺の手をべろべろ舐める。くすぐったいけど、この前急に動かしたらみーくんはびっくりしてベーコンを一枚落としてしまい、そりゃあもう未練がましい目で砂だらけになったベーコンを眺めていたのでじっとしている。
「みーくんは、どこからきたの? 海の中ではないよね」
「ぎゃう」
みーくんは俺とおしゃべりするよりご飯のほうが好きなので、食べ終えたばかりだというのに具材を入れたバスケットをくんくん嗅いでもっとつくれと促すのだ。
「街でチュロス食べたじゃない」
デザートとご飯は別腹らしく、からになったお皿を舐めて情けないなきごえを出すものだから、ホゲータたちはもっとあげてやれよお腹減っててかわいそうだろ、と抗議するかのように鳴いている。
「もー。あと一本だけだよ」
ごまがまぶしてあるパンに切り込みを入れているだけで期待の眼差しが俺にざくざく刺さる。この前クレソンを入れたらみーくんは聞いたこともないうめき声をあげたしなんならホゲータは泣いたので、仕方ないので俺が食べる。苦い草だけで食べるとおいしさはあまり感じない。塩気や油分と混ざることでおいしく感じるんだな、と身をもって理解した。
具材を挟んだだけなのにこんなに大喜びされるのはなかなかうれしい。口の周りがポテサラまみれになっているホゲ太は、とどめと言わんばかりに泥まみれでボールを蹴っている。(正しくは、お腹で跳ね返している) あわてて呼び止め、洗ってやるとありがとう、とぎゅっと抱きしめてくる。しっかり濡れた制服を着替えて乾かしている間にポケモンたちのいびきが聞こえてくる。ほんとは一日一回みんな洗ってやれたらとか栄養バランスとかいろいろ考えられたらいいんだけど、俺はまだそこまでできない。
みーくんのお腹を枕に、ホゲ太を抱えて眠りにつく。明日もよろしくねなんて言って。畳む
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