プラスとして投稿したもの
#MHA / #通形ミリオ
彼が、殺し合いのステージに戻ることを聞いてしまうなんて、私も運がない。
多分、皆も私に聞かせないようにしたかったんだと思う。エリちゃんですら、私をみて申し訳なさそうな顔をした。本当の妹のように接した。この世の苦しみの煮凝りを食わせられていた子どうして突き放すことができるだろうか。この雄英にいる限り、経営科でも矜持をもつことを求められる。制服に袖を通してしまえば、ヒーロー科も経営科も学外の人からしたら見分けがつかないのだから。
「ごめんなさい、ナマエちゃん。でもね、でもね」
必死に言い訳をさせてしまっている。こんな小さな子が自ら選び取ったわけではない性を行使したことを謝らせている。誰がだ。私が、か。
女同士だからと言って喋りすぎた。もうミリオには戦ってほしくないこと、サー・ナイトアイですら帰らぬ人となってしまう現状、ミリオも例外ではないということ。それがたまらなく恐ろしいということ。
ミリオを信じきれないがために私が苦しんでいるということ。
「信じて送り出してくれ、っても無理だよなあ。俺だって怖いもん」
「ミリオも怖いの?」
「もちろん、ここにいる誰もが正義とともにあるっていう脳内麻薬でシャバシャバ担ってるだけだと思うよ。俺は。戦いに出ずに待ってるだけなんて、もっと怖いと思う」
「ミリオ」
「大丈夫、ナマエを残して死んだりしないよ」
「約束……はしないよ」
「破ったらナマエ、お墓壊しそう」
「そんなことしないよ」
「そう? その時はエリちゃんをよろしく」
「ふざけんな、死んでも生きて帰ってこい」
「わかった。じゃあ」
そんな口約束だけで、ミリオは危険を冒して戦いのステージに立つ。役者は揃っている。私は光のない舞台袖で、またここへ帰ってきて、と誰にいうでもなくつぶやく。
「ナマエちゃん、怒ってる?」
「この戦いを始めたやつに怒ってるよ」
「む、それはわたしもそうだよ」
「じゃあ一緒に怒ろう」
エリちゃんの手は冷たく湿っている。私に怒られるのではと怖がったのだろうか。かわいそうに。お昼は大好きだけど服を汚しちゃうからというナポリタンにしよう。畳む