※武ヒナ前提
「お父さん」
確かに目の前の、年はそう離れていない女の子は俺を見てそう言った。
「お父さん、私、橘日向と花垣武道の娘の」
「わかるでしょう? お父さんも私と同じ未来からきた人だから。私はずーっと先の未来からきたの」
「お前、名前は?」
やっとそれだけ絞り出した。言っていることが支離滅裂だというのはわかるが、感覚でわかってしまう。彼女は本当のことを言っているという直感。
「花垣加奈子」
「……信じらんねえけど、俺が信じてやらねえといけねえんだよな?」
「なんで私に聞くの。お父さん、今と全然変わらないね」
「でもよお、お前がここにいるってことは、俺がやってきたことは全てうまくいって、その、誰も欠けねえで未来で待ってるってことだよな……?」
「そうだよ、マイキー君も、ドラケン君も、日向……母さんも生きてる」
「ほんとだな? 俺は失敗しないで、終わるんだな?」
「そう。だからお父さん。もう少し頑張って」
「おう!加奈子! 未来のお母さんには若い頃のお父さんもイケメンだったって言っておけよ!」
「……それはイヤ」
「なんだよーっ」
その少女は、日向にあげたクローバーのネックレスを見せてくれた。過去の俺に会うと聞いたら、持たせてくれたという。その未来の可能性を信じるだけで心が温かくなる。
「お父さん、私がいる未来を閉じないように頑張って」
「おう」
未来から来たという、日向と同じ髪の色をして俺と目がそっくりの女の子がいたという話。
