本人が普通に着て普通に振る舞っているからツッコミづらいけど、乳首ピアス耳ピアスへそピアスを他人に見せびらかすなんてどんな神経しているんだろう。
 というのも、俺が生きてきた世界の常識で彼のことを測っているからそう思うのかもしれない。じゃあ逆に、なんでちんこピアスを開けていないのだろう、という気になった。痛みのレベルは他の比ではないというが、麻酔の技術が発達していて、そう痛くはないらしい。麻酔といっても、媚薬の一種なのだが。
「加奈子、話って」
「いやさあ、ちょっと提案なんだけど」
「うん」
「ちんこピアス、開けてみない?」
 オリビンは少し驚いた顔をしたけれど、すぐにやさしい笑顔になった。俺はオリビンのイキ顔も好きだけど、このかわいらしい笑顔も大好きだ。
「加奈子が、そうして欲しいの?」
「ていうか、そのほうが素敵だなあって思ったんだけど……でも常に感じちゃうから体の負担があるなって」
「大丈夫、それより加奈子がそうしたいって気持ちがうれしい」
「いいの……?」
「もちろん。やってみよう。消毒液と麻酔を持ってくるね」
「そんな急に!?」
「うん、それにちょっと気になっていたからね……どうやってやるかは知っているんだ」
「そうなんだ」
 そういって銀色のバットに小瓶と細身のピアスと留め具を置いていくオリビン。なんだか手際が良すぎる。
 言い及ぶ前にオリビンが麻酔薬が入った小瓶のふたを開け、一息に飲み干した。
「っ、はあっ……?」
「俺が開けていい?」
 オリビンが頷いたのを見て、バットに乗せられている先の尖った細身のピアスを手にとった。仮留め用のピアスは乳首やへそのものと同じ品のあるゴールドをしている。これなら他のものと鎖でつなげても違和感がない。調和が取れていてうつくしく見える。見えるといっても見るのはオリビンか俺だけなんだけど。
 冷たい針先がちんこの鈴口を掠めると驚いたのか巨体が震えた。
「怖い? ぎゅーしよ」
 オリビンを両手を広げて受け入れると、なんだか乳臭いようないい香りがした。なんだかオリビンの体が熱い。
「……イタイのが気持ちいいから、ドキドキしてる?」
「この薬のせいだもんッ……」
「そう、そうだね。薬のせいだからちんこブッ刺されてイッてもいいんだよ。俺の前でなら、たくさんキモチヨクなっていいよ、祭司の役割は少しだけ忘れてもいい。ただのオリビンになって、俺のこと大好きすぎてイッていいよ」
「加奈子っ……ほんとに……? 淫乱だって、嫌いにならない?」
「ならないよ、たくさんキモチヨクなってるところ見せて」
「うんッ……!! 加奈子みててね、全部加奈子がそばにいてくれるからだからね?」
「わかってるよ、大丈夫」
「よかった……? 加奈子、きて……?」
 オリビンの手に導かれるまま鈴口に針を穿つ。形の良い眉が顰められるが、気にせず貫通させた。血がだらだら垂れているが、当のオリビンはアヘ顔を晒している。
「ひ、ひぃ……どうしよう、加奈子、キモチイイよぉ……??? おかしい、おかしくなっちゃったッ……!」
「大丈夫だ、落ち着いて。びりびりしてて痛いよな、ちんちんキモチヨクなるからな。お尻挿れてやるからな」
「うんっ…… 加奈子がそういうなら……???」
 

 オリビンの要望で、乳首などについているピアスを結ぶ鎖とつけたけのちんこピアスと繋げてほしいというので、先端の割れ目に渡すように差し込んだピアスをくぐらせた。こんな状態で衆生の前に立つのだ。今までの自分の常識をまっさらにしないとついていけない。
 オリビンは尻を高く上げて挿入しやすいようにして待っている。デカい尻たぶにキスをすると恍惚とした表情でエイトの方を見やる。

   加奈子の先端が尻穴に当たっただけなのに、鼻息荒くして待っている。けれど淫らだとか責めたりはしない。俺の前でだけこうしてくれているのに、それを踏みにじりやしない。までも、それはそれで興奮しそうだけど……。

   ぐじゅぐじゅとまるで膣に挿入しているようないやらしい音を立てて先端を押し入れてゆく。やさしく律動を加えると、喉の奥から絞り出したような喘ぎが漏れた。
「ふーーっ?? はぁ……っ??? エイト、あったかい??」
「うん、キモチイイな」
「加奈子も? うれしいな?」
 ドコドコ突き込むセックスもいいけど、こうやって互いの体の一部を感じながら高め合うのもいいな。

   ちゃら、と音を立てた鎖を引っ張ってやると、勃起してきたちんこから血が流れて太ももに滴っている。

「大丈夫?」
「へ、へーきだよっ……??」
「わかった、痛かったら言ってな」
 動きを再開すると、尻穴を通してオリビンの脈の音が感じ取れた。とこ、とこ、と心臓が早鐘を打っている。オリビン、こんな血だらけなのにキモチヨクなっちゃって大丈夫かな、と思っていたのも束の間、熱烈なキスをされてそんな思いは吹っ飛んだ。
 あたたかく這い回る舌を絡めて、何してんだかわからないキスをする。もうなんか俺にまで媚薬が回っているんじゃないかって気になる。
「加奈子っ……?? 加奈子っ……???」

  「いつもはオスまんこになっちゃって、何にもわかんなくなっちゃうけど、今はすごくあったかくて、うれしいよ」
「うんうん、あったかいね」
「りょ、両思い……?」
「ああ、両思い」
「うれしいっ……!」

  「あんっ、う、ウう……?? おしり、一番イイところ突かれてキモチイ、だけど加奈子だから、うれしいっ……」
「イくとこ、みててくれる? エイトのちんこでイく、ぎゅーして、ね……???」
 おねだりされるままハグすると、そのぶっとい脚でホールドされてしまった。多少苦しいが、我慢だ。
「アッ、もうクる……もっとこうしてたかったっ……?? まって、あっ、ん、んんゥ……??」
 そのままイッたオリビンに、またヤるから平気だよ、と伝えると淫靡さをたたえた顔のままほほえんだ。数拍遅れて射精するとそのままキスされた。最後の一滴まで出し切ると、オリビンはやっと解放してくれた。
「はぁっ?? はあっ……?? 加奈子、加奈子もキモチヨかった?」
「うん、たくさん出しちゃったよ」
「いい、いいんだ……?」
 まだ興奮冷めやらないオリビンは血が漏れているのも気にしていないので、ぬるま湯に浸した布で拭いてやると、時々引っ掛ける鎖がキモチイイのか、体を跳ねさせている。
「ちんこピアス、キモチイイ?」
「加奈子がやってくれたんだ、大切な宝物だし、その……性感帯だよ?」
「またっ……そんなこといって煽る」
「えへへ……?」
 そんなことばっかりなので、俺のちんこは乾く間もない。オリビンのせいだ、なんていった日にはうれションしかねないので黙っている。かわいくて淫らな俺の祭司さま。