「新築の匂いがする」
「まあ新築だからな……引越しそば配ってくる」
「はーい」
焦凍のできたばっかりの事務所にお招きいただいたので、寿司を持っていったらみなさんに大変よろこばれた。彼氏が寿司屋っていいな〜なんて。
「……焦凍、隠さないの? 恋人がいるのは人気商売で不利じゃないの?」
「かもしれねえけど、隠すのは性に合わない」
「それでいいのかなあ……?」
「晋が悩むことじゃねえよ」
「そうかもしれないけど」
「わ、ほらネットにはもう……エグい記事が」
「そんなもん見るな」
ごもっともなんだけど、将来有望なプロヒーローの彼氏がしみったれた寿司屋なんてどうなの?と思わないでもない。だめだ。どうしても自分のことを卑下しすぎて焦凍がわかんないな〜って顔してる。
「明日まで誰もいないんでしょ? 今日はうちに泊まる?」
「いいのか?」
「寿司しかないけど」
「晋がいるだろ」
どこでそんな殺し文句習ってくるんだ。ほめても寿司しか出ねーぞ。
ボロか新築かと言ったら限りなくボロに近い我が家に人気急上昇中のプロヒーロー、轟焦凍くんがいる。なんでだ。彼氏だからか。
焦凍は珍しそうに部屋を見渡している。こんな狭い部屋見たことないんだろ。おぼっちゃまだから。出したお茶とお茶菓子の隣に見慣れた表紙とメイド服が並んでいて背筋が凍った。焦凍の個性のせいではない。焦凍のせいではあるけど。
「晋、こういう趣味があったとは知らなかった」
「……漁るなよ」
「ベッドの下なんかに置いておくから……」
「俺が悪いのか?!! 元カノに着てもらったやつだよ」
「……晋が着てほしいって頼んだのか?」
「そうだよ!! 悪い???」
「……俺も着る」
「???なんて????」
「着てほしいんだろ、こういうの。後ろ向いてろ」
悲しいほどにスカート丈が短いメイド服を摘み上げられて大声で泣いてしまいそうになった。そんなじっくり性癖開陳させなくたっていいじゃん。エロコスが好きでもいいじゃん。
少しふっくらした女性だったからきっと入るだろうけど、それとこれとじゃ話が違うだろ。女の子のふわふわおっぱいとやわらけえ尻と、それをふちどるフリフリレースのコントラストこそが可愛くてモエるのだとその時の俺は思っていました。これからやることやるんだし着替えくらい見ても良くない?と思ってたけどそうじゃないらしい。恥じらいが大事なんだそうだ。
「わっ……えっ……」
「なんだよ」
「新たな扉が開いている感じがする」
「ふーん」
焦凍はわやわやになってしまった俺を尻目に、特段興味なさそうにベッドに腰掛ける。スカート丈が短すぎてパンツ見えたくらいじゃ動じないところが轟焦凍って感じだ。ヘッドドレスまでしっかり付けてるあたりがすごくイイ。ニーハイのゴムがぶっとい太ももに負けてちぎれそうなのがまた……笑えないぐらいちんちんに響いてしまった。
ドンキで買った安物のエロコスだけど正直めちゃくちゃかわいい。女装にモエる性質ではないから笑って終わりだろうと思ってたけど勃ってきちゃった。案の定冷たい目線が股間に刺さる。
「やっぱお前、女がいいんじゃないのか? 元カノに着せて、パンツ見て喜んでたんだろ?」
「そんなことないです……パンツは今見えてるのもうれしいです」
「ならいい」
「ね、こっちきて……?」
素直に来てくれるどころか隣に座ってくれた。寿司屋の二階にあるまじきエロさで頭がおかしくなってしまいそうだ。ヤるには脱がさないとならないけど勿体無い。夢中でキスしてたらビリ、と不穏な音がした。
「いいから、ダメになったら捨てる」
「ん」
どこ触ったってカッタイ筋肉しかないのに今となっては何もかもがエロ記号に見える。射精する前ってIQ下がるって言うけど多分マジだと思う。なんも考えられない。焦凍かわいいしか頭にない。みじんこ以下の脳みそだけどゴムはつけた。
「しょーと、好きだよ」
「やっと言った。俺も」
「っ、くぅ゛♡ ……っん゛♡ ♡ 」
「痛い? へいき?」
「だ……っ、♡ 大丈夫だから゛っ、、……♡ ♡ 晋っ♡ ♡ ♡ ♡ 」
「しょう、」
「♡ ん゛………っう゛♡ 、あぁ゛っ♡ ♡ 」
「やば、止まんない、ごめん焦凍」
「いい゛ッ♡ いいから゛っ♡ ♡ 」
キスしていいと聞く前にキスされた。押し倒されてるのに腹筋だけで起き上がってキスできるんだからすごい。さすがプロヒーロー。キンタマの後ろが攣るような感覚があるともう出る。出すともうセックス終わりみたいな雰囲気になるからさびしい。まだこのままでいたい。けどこの迫り上がってくる感じがそれを許さない。
「っぐ、う」
「はァ゛〜ー〜〜ーっ、、♡ ♡ ♡ ♡ あァ゛っ♡ 、んぐっ゛、、♡ ♡ 」
すっかり頭が冴えてしまった。この祭りの終わりのような喪失感が嫌いだ。どんなにまだ終わりにしたくても終わってしまう感じが。ぶっきらぼうにゴムを外して捨てた。焦凍の腹にかかった精液を拭っていて気づいた。
「男って、ケツの穴でもイけるんだ……!」
「試してみるか?」
「い・や・だ! ねえ、まだ一緒にいようよ」
「もちろん、晋がいやだって言うまで」
「なんか焦凍の感情重くない?」
「……嫌い?」
「……好き♡ って言わせんなよ」
焦凍が腹へったって言うのでありあわせのサクから適当に切って出した海鮮丼を作って持っていくと、本当に余り物なのにうれしそうに食べてくれて寿司屋冥利に尽きる。
「うまい。お腹減った、って言ってこれが出てくるの嬉しい」
「ほんと? よかった」
「それでさ、ベッドの下にあった本のことだけど」
「なに見てんだよ!!!!おい!!!!!!」
「だって、彼氏の家に行ったら漁るだろ。ベッド下」
そんな綺麗な顔で変なこと言わないでほしい。俺が間違ってるみたいじゃん。なに入れてたっけ……と焦ってしまう。
「お前、男の乳首に夢見すぎじゃないか?」
「そんな……そんなこと言わなくても良くない?!???」
乳首責めはロマンだろ。そこに夢見て悪いかよ。
久しぶりに本気の叫びが出てしまった。家族が家にいなくてよかった。
「な、なんでそんなこと言うんだよ、俺何かした?」
「……こういうの、やってみたいのか?」
「……はいっ!!!!」
今世紀最大のいい返事をしてしまった。恥ずかしいくらいいい返事だ。そりゃあ彼氏の乳首開発していいってなったらヤッターになるでしょ。てかそういうことか。エロ漫画の内容を試してみたいって素直に言えばいいのに。
「べ、別に俺がじゃなくて、晋がやってみたいって言うから」
「わかってるってわかってるよ」
「わかればいい」
そんなこと言って興味津々なの俺わかってるからね。思わず抱きつくとおずおずと抱き返してくる。そんな初々しい反応なのかよ、と思ったけど突っ込まないでおく。
「まあ新築だからな……引越しそば配ってくる」
「はーい」
焦凍のできたばっかりの事務所にお招きいただいたので、寿司を持っていったらみなさんに大変よろこばれた。彼氏が寿司屋っていいな〜なんて。
「……焦凍、隠さないの? 恋人がいるのは人気商売で不利じゃないの?」
「かもしれねえけど、隠すのは性に合わない」
「それでいいのかなあ……?」
「晋が悩むことじゃねえよ」
「そうかもしれないけど」
「わ、ほらネットにはもう……エグい記事が」
「そんなもん見るな」
ごもっともなんだけど、将来有望なプロヒーローの彼氏がしみったれた寿司屋なんてどうなの?と思わないでもない。だめだ。どうしても自分のことを卑下しすぎて焦凍がわかんないな〜って顔してる。
「明日まで誰もいないんでしょ? 今日はうちに泊まる?」
「いいのか?」
「寿司しかないけど」
「晋がいるだろ」
どこでそんな殺し文句習ってくるんだ。ほめても寿司しか出ねーぞ。
ボロか新築かと言ったら限りなくボロに近い我が家に人気急上昇中のプロヒーロー、轟焦凍くんがいる。なんでだ。彼氏だからか。
焦凍は珍しそうに部屋を見渡している。こんな狭い部屋見たことないんだろ。おぼっちゃまだから。出したお茶とお茶菓子の隣に見慣れた表紙とメイド服が並んでいて背筋が凍った。焦凍の個性のせいではない。焦凍のせいではあるけど。
「晋、こういう趣味があったとは知らなかった」
「……漁るなよ」
「ベッドの下なんかに置いておくから……」
「俺が悪いのか?!! 元カノに着てもらったやつだよ」
「……晋が着てほしいって頼んだのか?」
「そうだよ!! 悪い???」
「……俺も着る」
「???なんて????」
「着てほしいんだろ、こういうの。後ろ向いてろ」
悲しいほどにスカート丈が短いメイド服を摘み上げられて大声で泣いてしまいそうになった。そんなじっくり性癖開陳させなくたっていいじゃん。エロコスが好きでもいいじゃん。
少しふっくらした女性だったからきっと入るだろうけど、それとこれとじゃ話が違うだろ。女の子のふわふわおっぱいとやわらけえ尻と、それをふちどるフリフリレースのコントラストこそが可愛くてモエるのだとその時の俺は思っていました。これからやることやるんだし着替えくらい見ても良くない?と思ってたけどそうじゃないらしい。恥じらいが大事なんだそうだ。
「わっ……えっ……」
「なんだよ」
「新たな扉が開いている感じがする」
「ふーん」
焦凍はわやわやになってしまった俺を尻目に、特段興味なさそうにベッドに腰掛ける。スカート丈が短すぎてパンツ見えたくらいじゃ動じないところが轟焦凍って感じだ。ヘッドドレスまでしっかり付けてるあたりがすごくイイ。ニーハイのゴムがぶっとい太ももに負けてちぎれそうなのがまた……笑えないぐらいちんちんに響いてしまった。
ドンキで買った安物のエロコスだけど正直めちゃくちゃかわいい。女装にモエる性質ではないから笑って終わりだろうと思ってたけど勃ってきちゃった。案の定冷たい目線が股間に刺さる。
「やっぱお前、女がいいんじゃないのか? 元カノに着せて、パンツ見て喜んでたんだろ?」
「そんなことないです……パンツは今見えてるのもうれしいです」
「ならいい」
「ね、こっちきて……?」
素直に来てくれるどころか隣に座ってくれた。寿司屋の二階にあるまじきエロさで頭がおかしくなってしまいそうだ。ヤるには脱がさないとならないけど勿体無い。夢中でキスしてたらビリ、と不穏な音がした。
「いいから、ダメになったら捨てる」
「ん」
どこ触ったってカッタイ筋肉しかないのに今となっては何もかもがエロ記号に見える。射精する前ってIQ下がるって言うけど多分マジだと思う。なんも考えられない。焦凍かわいいしか頭にない。みじんこ以下の脳みそだけどゴムはつけた。
「しょーと、好きだよ」
「やっと言った。俺も」
「っ、くぅ゛♡ ……っん゛♡ ♡ 」
「痛い? へいき?」
「だ……っ、♡ 大丈夫だから゛っ、、……♡ ♡ 晋っ♡ ♡ ♡ ♡ 」
「しょう、」
「♡ ん゛………っう゛♡ 、あぁ゛っ♡ ♡ 」
「やば、止まんない、ごめん焦凍」
「いい゛ッ♡ いいから゛っ♡ ♡ 」
キスしていいと聞く前にキスされた。押し倒されてるのに腹筋だけで起き上がってキスできるんだからすごい。さすがプロヒーロー。キンタマの後ろが攣るような感覚があるともう出る。出すともうセックス終わりみたいな雰囲気になるからさびしい。まだこのままでいたい。けどこの迫り上がってくる感じがそれを許さない。
「っぐ、う」
「はァ゛〜ー〜〜ーっ、、♡ ♡ ♡ ♡ あァ゛っ♡ 、んぐっ゛、、♡ ♡ 」
すっかり頭が冴えてしまった。この祭りの終わりのような喪失感が嫌いだ。どんなにまだ終わりにしたくても終わってしまう感じが。ぶっきらぼうにゴムを外して捨てた。焦凍の腹にかかった精液を拭っていて気づいた。
「男って、ケツの穴でもイけるんだ……!」
「試してみるか?」
「い・や・だ! ねえ、まだ一緒にいようよ」
「もちろん、晋がいやだって言うまで」
「なんか焦凍の感情重くない?」
「……嫌い?」
「……好き♡ って言わせんなよ」
焦凍が腹へったって言うのでありあわせのサクから適当に切って出した海鮮丼を作って持っていくと、本当に余り物なのにうれしそうに食べてくれて寿司屋冥利に尽きる。
「うまい。お腹減った、って言ってこれが出てくるの嬉しい」
「ほんと? よかった」
「それでさ、ベッドの下にあった本のことだけど」
「なに見てんだよ!!!!おい!!!!!!」
「だって、彼氏の家に行ったら漁るだろ。ベッド下」
そんな綺麗な顔で変なこと言わないでほしい。俺が間違ってるみたいじゃん。なに入れてたっけ……と焦ってしまう。
「お前、男の乳首に夢見すぎじゃないか?」
「そんな……そんなこと言わなくても良くない?!???」
乳首責めはロマンだろ。そこに夢見て悪いかよ。
久しぶりに本気の叫びが出てしまった。家族が家にいなくてよかった。
「な、なんでそんなこと言うんだよ、俺何かした?」
「……こういうの、やってみたいのか?」
「……はいっ!!!!」
今世紀最大のいい返事をしてしまった。恥ずかしいくらいいい返事だ。そりゃあ彼氏の乳首開発していいってなったらヤッターになるでしょ。てかそういうことか。エロ漫画の内容を試してみたいって素直に言えばいいのに。
「べ、別に俺がじゃなくて、晋がやってみたいって言うから」
「わかってるってわかってるよ」
「わかればいい」
そんなこと言って興味津々なの俺わかってるからね。思わず抱きつくとおずおずと抱き返してくる。そんな初々しい反応なのかよ、と思ったけど突っ込まないでおく。