死後裁かれる、ってポスターを見つけてからずっと考えてたんだよ。もう俺は人を殺しすぎた。もう裁きからは免れない。

 ならできるだけ罪を犯したほうがお得だよなぁ、お父さん?
 なんだよ、そんなに怯えることないだろ。俺とセックスするのそんなに嫌なのか?お父さんは俺がどういう感情を向けてきたって、逃げない見続けるってカッコつけてたじゃんかよ。また、嘘つくのかよ。
 尻たぶを割り開き、つんと尿のにおいがかおる。尻穴のまわりに生えた毛を引っ張ると大袈裟なくらい身を固くし、それが面白くて俺は大きな声をあげて笑った。
 ふ、となでるように手を振るとお父さんの尻毛に火がついて、尻と脚の筋肉がこわばった。火はほんのすこしだけ燃えた後消えた。
「なんかもっと、悲鳴とかあげるのかと思った……あ、口にタオル詰めたんだった」
 舌を切ってしまわないように詰めたタオルを取り除いてやっても、何も言わなかった。親っぽいこととか言うかな?と思ったけど何もなかった。ただ黙って、唇を弾き結んでいる。嵐に耐えたら、また日が昇ると信じてるやつみたいで、やまない雨はないと信じているやつみたいで腹が立った。俺の太陽は二度と登らなかったのに。俺に降る雨を防ぐために、傘を持ってたのにくれなかったくせに。
 失ったもの、手に入らなかったものをずぅっと欲しがって、諦めることができたらよかったのかもしれないけど、そこはさ、俺だってお父さんの息子だから。
 ものはためしでちんこ挿れてみたけど、全然。面白くもなんともない。気持ち良くもない。ただただお父さんが苦しげに呼吸するのを聞いていただけだ。

 俺は、お父さんのことを罰したい訳じゃない……ような気がする。でも罪をつぐなってほしい気持ちもある。複雑。俺は、お父さんをどうしたいんだろう。
 俺のこと好きになってほしいのかも。大事なものだったって抱きしめてほしいのかも。なんとなくわかっているのに、こうして突き放して、罰してしまう。

 すぐに答えを出さなくていいや。俺の命が続く限り、問い続けていたい。俺はお父さんを……どうしたいのか、どうして欲しかったのか。いま、どうしてほしいのか。

 お父さんの拘束を解いてやると、ふらふらとトイレまで歩いて行って吐いているみたいだった。かわいそうなお父さん。罪作りなお父さん。俺ともっと作ろうね、罪!

2023/3/17
wavebox